世界最大の眼鏡企業であるイタリアのルックスオティカ グループ(LUXOTTICA GROUP SPA以下、ルックスオティカ)は先ごろ、日本製眼鏡フレームの約95%を生産する福井県の鯖江市に製造拠点をオープンした。2018年に買収した福井めがね工業との新しい施設だ。「レイバン(RAY-BAN)」など傘下ブランドの一部で日本生産を進めていたが、新拠点誕生で本格化する。
自動車学校跡地を利用した約1万1000平方メートルの敷地には、1日に約1000本を生産する工場のほか、製品&研究開発センター、ショールームなどが設置され、200人以上が勤務する。「伝統的な価値や文化に由来する製品が誕生する場所、デジタル技術と職人の手仕事のスキルが出合う場所、伝統と革新的なアイデアが融合する場所、技術的ノウハウとマルチメディアコンテンツが混ざり合う場所」をコンセプトとするルックスオティカの新たな理念を示す場所という位置付けだ。社屋の前に禅の要素を取り入れた庭園を作るなど、日本的要素も取り入れた。
福井県の眼鏡業界関係者は、「100年以上の歴史がある伝統的な鯖江とは違うヨーロッパの先進的なモノ作りとの相乗効果で、新しい文化が生まれるきっかけになる。“サバエ”が、世界でさらに有名になるだろう。海外からの受注増につながればいい」と期待を示した。
ルックスオティカの20年12月期の売上高は144億ユーロ(約1兆8000億円)。「シャネル(CHANEL)」「ブルガリ(BVLGARI)」「プラダ(PRADA)」「ジョルジオ アルマーニ(GIORGIO ARMANI)」などのラグジュアリーブランドのほか、「レイバン」「オリバーピープルズ(OLIVER PEOPLES)」「アラン ミクリ(ALAIN MIKLI)」という有力な眼鏡ブランドなどを数多く手掛けており、圧倒的なブランド力を持つ。チタン素材を中心とする日本製の品質は世界で評価が高く、ルックスオティカが展開する150カ国以上の販売先で存在感をさらに強めそうだ。