合繊生地大手の小松マテーレの2021年3月期決算は売上高が前期比17.8%減の300億円、営業利益が同12.1%減の14億円、経常利益が同11.0%減の19億円、純利益が同31.6%増の18億円だった。コロナ禍の長期化で主力のテキスタイル事業が大幅な減収減益を強いられたものの、マスクを中心とした製品事業がカバーした。純利益の増加は期中に清算した中国子会社の土地の売却益8億6600万円によるもの。佐々木久衛社長は「コロナ禍を契機に不採算事業の抜本的な見直しとビジネスモデルの再構築に取り組んだ。ネット通販で抗ウイルスのマスクが爆発的に売れて、主力のテキスタイル事業をカバーした」という。
売上高の約65%を占める衣料ファブリック部門の売上高は同23.6%減の192億円。主力の欧州の高級ブランド向けのテキスタイル販売が、ロックダウンなどにより営業活動が大幅に制限され、同31.5%減と苦戦した。カーシートや湿布剤などの資材ファブリック事業も含めたテキスタイル事業の営業利益は同45.0%減の8億6000万円だった。
一方で好調だったのがコロナ禍をきっかけにスタートした抗ウイルスマスク販売。ネット通販のスタートにより、売上高は倍増の16億9600万円、営業利益は5億円(前期は1700万円)と大幅に拡大し、テキスタイル事業の減益分をカバーした。
22年3月期の見通しは、売上高が300億円(前期比6.6%増)、営業利益が14億円(同27.0%増)、経常利益が19億円(同20.0%増)、純利益が18億円(同2.2%増)。中山大輔専務取締役は「渡航ができないなど営業活動は現在も制限されているが、主力の欧州高級ブランドからの受注はコロナ前の水準まで戻りつつある」とし、主力のテキスタイル事業の復調を見込んでいる。