ブランドマネジメント企業オーセンティック・ブランズ・グループ(AUTHENTIC BRANDS GROUP以下、ABG)とスパーク・グループ(SPARC GROUP以下、スパーク)が、「エディー・バウアー(EDDIE BAUER)」を買収する。金額などは公開されていないが、ABGが同ブランドの知的財産権を獲得し、スパークがブランド事業を担うことで合意したという。6月1日に最終決定する予定だ。ABG広報は、「エディー・バウアー」の店舗閉鎖や従業員の解雇については「運営や人員配置に関する情報はまだ明らかでない」と述べた。
「エディー・バウアー」は、シアトル生まれの伝統的なアウトドアブランド。1920年にエディー・バウアーがテニスウエアの販売のためにブランドを設立した。68年に売却して以来、ジェネラル・ミルズ(GENERAL MILLS)やスピーゲル(SPIEGEL)がブランドを運営したが、2009年にデラウェア州で日本の民事再生法に当たる米連邦破産法第11条の適用を申請。投資会社のゴールデン・ゲート・キャピタル(GOLDEN GATE CAPITAL)が買収し、その運営グループであるPSEBグループが所有した。従業員は1000人超で、推定年間売上高は5億ドル(約540億円)と見られている。契約成立後も本社はダミアン・ファン(Damien Huang)社長の下、シアトルに留まる。
ABGは、この15カ月の間にバーニーズ ニューヨーク(BARNEYS NEW YORK)や「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」などを買収してきた。スパークは、ABGと米不動産投資信託会社サイモン・プロパティー・グループ(SIMON PROPERTY GROUP)が半々の出資比率で設立した合弁会社。今回の契約で「エディー・バウアー」の素材調達から製品設計・開発、販売、戦略、ECまでを管理し、アメリカとカナダに位置する300店舗も運営する。これによりスパークが運営する「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」「エアロポステール(AEROPOSTALE)」「ノーティカ(NAUTICA)」「フォーエバー21(FOREVER21)」といったブランドの売り上げは計86億ドル(約9300億円)になる見込みだ。
ファッションに加えてエンターテインメントやメディア、ホームなど幅広い事業を手掛ける中、ABGは本契約でアウトドア事業に本腰を入れる。すでに他ブランドに適用している成長戦略を「エディー・バウアー」でもすぐに実施する計画だ。アメリカ中心のブランドをラテンアメリカ、ヨーロッパ、アジアなど国際的に展開し、アウトドアライフが人気のエリアにも進出する。中国と韓国の一部エリアでは、初期の成長を促すためにすでに商品の発売が計画されているという。またこれまでの消費者を維持しながら、若い消費者を引き付けるために同ブランドのマーケティングとブランド開発を図る。コンテンツを強化してオンラインフォロワーを開拓し、ブランドの核を生かしたコラボレーションに乗り出すという。
ジェイミー・ソルター(Jamie Salter)ABG会長兼最高経営責任者(CEO)は、「世界のアウトドア市場は20年、飛躍的に成長した。スパークとファン社長、『エディー・バウアー』チームと協力してこのブランドを新しい局面に導きたい」とコメント。また、「エディー・バウアー」のECビジネスを「堅調」とし、オンラインでの販売が20年の売上高の約50%を占めたことを評価した。