ユナイテッドアローズ(以下、UA)は、コロナ禍による業績悪化を受けて在庫消化促進のための仕組みを強化し、粗利益率の改善に努めている。また、OMO推進を2022年3月期の最重点課題として、予定通り自社ECの切り替えを進める。
「21年3月期は年間を通じて在庫過多となり、粗利益率を大きく痛める結果となった」(松崎善則社長執行役員CEO)ことから、昨年9月に“在庫改善プロジェクト”を立ち上げていた。同プロジェクトのもと、21年春物から仕入れを抑制すると共に、「これまではMD職と近い業務内容になっていたディストリビューター職の役割を改めて明確化し、店頭・ECの在庫配分や、売上高や粗利益の計画をもとにした在庫消化促進を担うものへと分離」(決算説明資料)させた。
今春の在庫状況は、4月25日からの緊急事態宣言で4都府県の一部店舗が休業する中でも、「そこまで膨らんではいない。長袖トップスなど、大型連休に販売を見込んでいた商品で一部既にセールにかけている商品はあるが、基本的には夏のセールを前倒しして値引きするようなことはしない」(松崎社長)と手応えを語る。
OMO促進のカギとする新しい自社ECサイトは、「店頭の顧客IDとECのIDを連動させ、接客や返品・交換などが、店舗でもECでも同様に行えるようにする」。新規客の取り込みのため、他社とのポイント連携なども進める考え。
4月25日からの4都府県での緊急事態宣言下では、UA単体の全236店のうち、4月末で97店を休業していた。その後、デベロッパーの判断により一部店舗は営業を再開。休業した店舗の販売員は「近隣店舗の応援や、EC支援などにまわってもらった。現時点では販売員を休みにすることなく対応できている」という。
21年3月期の連結業績は売上高が前期比22.7%減の1217億円、営業損益が66億円の赤字(前期は87億円の黒字)だった。22年3月期連結業績は売上高が前期比2.5%増の1248億円、営業利益30億円を見込む。「コロナ禍の影響を見込んでかなり保守的に計画を立てている。(春商戦では3度目の緊急事態宣言に見舞われたが)この段階での影響は軽微」という。