毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事はWWDジャパン2021年5月10日号からの抜粋です)
中村:今回の特集のきっかけは、40〜60代の女性が落ち着けるようなサロンがない!と問題になっているということからでした。どこもインスタで集客するようになってきているのですが、投稿する画像が若いモデルを使ったものが多く、最大市場である40〜60代の女性が行きたいと思えるサロンを見つけられないでいると。
五十君:ファッションも50〜60代向けのブランドはあったけれど、「着たい服がない」と言われ続けてきました。そこにヤングが主力だったアダストリアなどが参入し始めて、私も気になっていたところでした。ブランディングがしやすいし、カッコいいからというので、ファッションもヤング信仰が強いですが、マーケットの実情には合っていない。そこにチャンスがあるんだろうなと思います。
五十君:私はミューズ ドゥ ドゥーズィエム クラスの佐藤さんが「大人にこそ似合う服がある」と語っていて頼もしく感じたのですが、彼女自身、子育てがひと段落して今回本格復帰していて。かつては結婚や出産でこの業界の仕事から離れてしまう女性が多かったことも、50〜60代にフィットするブランドが出てこなかった要因かなと考えました。女性の働き方や社会進出とも関係がある話なのかもしれません。
中村:座談会では皆、「子どもが大学に行くようになってファッションもビューティも自由になった」と話していました。子どもの学校へ行く機会があったりすると、黒染めしたヘアで地味めな服であるべきという古い価値観に縛られてしまうそうです。でも、そこを終えた人たちはとにかく自由を謳歌していますね。
五十君:そうですよね。今回取材したブランドもすごく鮮やかでしたし、私も50〜60代市場については一度固定観念を取り払って臨むべきだと思いました。50〜60代市場が盛り上がってこの世代がもっと輝くと、下の世代の女性も自分の将来に希望が持てますよね。
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