「エフアールツー(#FR2)」の移動販売「エフアールツードコ?(#FR2DOKO?以下、ドコ?)」が絶好調だ。2月20日に茨城県からスタートして2カ月半、毎週末各地に赴き、必ず行列を作っている。詳しい場所は明かさず、地図コミュニケーションアプリ「ゼンリー(ZENLY)」を活用。客は位置情報を見ながら、まるで宝探しのように黄色い車を探す。4月24日に愛知県豊橋市と静岡県浜松市で開催した際には、過去最高の1日320万円を売り上げた。このゴールデンウイークは初めて7日間で6県を回る“東北ツアー”を開催した。「ドコ?」限定の商品も「エクストララージ(XLARGE)」や「アトモス(ATMOS)」「プーマ(PUMA)」などとコラボし、ラインアップを拡充。これを機に移動販売車も従来の軽自動車から大型のミニバンに刷新して、アクセル全開で突き進んでいる。「エフアールツー」を手掛けるせーのの石川涼社長に東北ツアーを振り返ってもらった。
WWD:東北ツアーはどうだった?
石川涼せーの社長(以下、石川):予算を高く設定していたこともあって、結果的に予算には届かなかった。6日間のうち3日間が雨で、雨が降るとさすがに集客が減ってしまう。それでも平均で1日に200〜300人は来てくれた。1番売り上げたのは秋田。1人で40万円分買ってくれた20代の男の子がいて、それも大きかった。
WWD: 7日間連続(移動日の1日を含む)の「ドコ?」は初めてだったが。
石川:毎日本当にハードだった。毎回段ボールを全部積み下ろしして、雨が降ってきたらその対応もする。1カ所目を11〜13時の2時間で設定していたんだけど、ありがたいことに毎回お客さんの人数が予想を上回るから15時ぐらいにやっと終わってそこから移動。2カ所目を16時から予定しているのに、移動すると大体17時を過ぎる。昼ごはんもまともに食べられない。結局、2カ所目が終わるのが21時ぐらいで、そこから次の県に前乗りして、夜中の1〜2時にホテルに着いてそのまま寝るみたいな、その繰り返しだから。楽しかったけどね。
WWD:これまでは、軽自動車と社用車の2台で移動していた。今回から新しく導入したミニバン(日産のキャラバン)の成果は?
石川:意外と2台の方が積めた(笑)。商品以外にも備品を積まなきゃいけないし、1台だと全ての荷物を奥から積んでいくから機動力も下がる。売り上げだけを見ると2台の方がいいけど、ドライバーを交代しながら移動できるから、スタッフの稼働を考えれば1台。その違いかな。
WWD:これまで、石川さん自らほとんどの現場に行っている。改めて、現場に行く理由は?
石川:一般的な会社は何かを改善するにも無茶苦茶時間がかかると思うけど、俺が行っていればその場で全部修正できるし、足りないものも全部その場で買える。スピード感を持ってよりいいものにするためっていうのが一番大きい。あとは例えば、雨ガッパ一つをとっても、黄色の車の周りに黄色のカッパを着ているスタッフがいた方が画になるなとか、ツアーの場合は移動距離をもう少し短縮して、1日に3〜4カ所回る方が効率がいいかなとか、いろいろ気付くことがある。そういうのも自分が行っていないと判断できない。スタッフのミスにも気付くから、毎回キレたりするけど……(笑)。
WWD:このご時世でスタッフをちゃんと叱れる関係もいいなと。それでも彼らがついてくるのはなぜだと思う?
石川:うちは“差別”するって言ってある。やっているスタッフは給料も上げるしボーナスも渡す。やらないやつは辞めればいい。本人たちにも言ったんだけど、俺に怒られて嫌だったら辞めろと。俺はこの事業が会社の中の一大事業になると思っているし、自分たちで考えて勝手に仕組みが回り始めたらそれを還元できる。だから毎日大事なところで怒っているけど、それが耐えられないなら辞めてもいい。でも本気でやる気があって、怒られてもへこたれない覚悟があるなら、ダメなところは毎日怒り続けてやる。だから選べと言ったら「やります」と言ってきた。それができるようになったら、すぐに数億円規模の事業に絶対なる。
WWD:何に対して注意する?
石川:何が大事か分かっていないから。この前も列が近隣の他店の前まで伸びてしまって、クレームが来た。それをどう対応するのかな?って2〜3分何も言わずに見ていたら何もしない。だからレジを一回止めさせて裏で怒らなきゃいけない。俺がいない設定で全部考えてくれないと任せられない。俺がいるときはいいけど、俺がいなくなったら誰が言うの?と。だから東北ツアーはとにかく厳しく接した。何がダメで、なぜダメか。それを裏で毎日言い続けた。
WWD:マスクの日焼けの跡も目立つ。
石川:毎日外にいたから。でもそれぐらいやらないと残れない。世の中には本気でやっている人たちがたくさんいて、その中で戦っていかなきゃいけないんだから、何もしないで売れようとしたって無理。だから俺は負けないよ、本気だから。
WWD:周りの反響は?
石川:この2カ月半で、「うちの在庫も売って欲しい」とか「うちの移動販売車も作れないか?」とか、オファーがたくさん来た。場所もルートもネットワークも、このまま続ければ蓄積されていくから、俺らがその移動販売のプラットフォームになれれば在庫を預かって全国に売りにも行ける。
WWD:今後の計画は?
石川:まずは、次回から1号車(軽自動車)と2号車(ミニバン)それぞれで、別々の場所に行く。それから、「ゼンリー」の仕組みは全世界で使えるからこのパッケージを世界に持っていく。まずはアジアから。インドネシアからはもうオファーが来ているから一番早いかも。