「LV」バッグ、中国で約1.5倍値上げの不思議
ちょうど1年前、パンデミックで世界中が混乱する中、「シャネル」がアイコンバッグと革小物を最大17%値上げするという記事に、「うわ〜、強気。ブランド力と信頼の証だわ〜」と感心したものでしたが、1年経って、「ルイ・ヴィトン」のミニバッグが中国で約1.5倍の価格になっていたというのは、これまた驚きでした
> 「ルイ・ヴィトン」「シャネル」「ディオール」などが中国で続々と価格改定 46%値上げしたバッグも
価格改定には為替の変動が大きく左右しますが、対ユーロの人民元はそれほど大きく変わっておらず。値上がり幅ランキングに「ルイ・ヴィトン」「ディオール」「シャネル」「グッチ」のアイテムが並ぶ中、「エルメス」は3〜6%程度の値上げだったということなので、大幅な値上げは戦略的なものと思われます。「シャネル」の値上げについてのコメントは、前述の記事を参照のほど。
それにしても「ルイ・ヴィトン」のミニバッグ約1.5倍はどういうことだろう?と思い、日本の価格と比べてみたところ、値上げ後の価格は日本の価格とそう変わらず。「日本もいつの間にか値上げされたのかな?」と思ったのですが、これ、そもそも中国での価格が低かったようです。本国での価格は現在600ユーロ(約7万9200円)です。この価格、この1年で大きく値上げされた感はありません。そして、中国での値上げ前の価格は6万円台――つまり、値上げ後の価格こそ適正で、その前はむしろ「中国で買った方が安かった?」という状況だったということです。これまたビックリ。
3位のポーチも本国価格390ユーロ(約5万1000円)ですが、値上げ前は内外差がほぼない価格だったようです。「ルイ・ヴィトン」が中国での売り上げ拡大に積極的なことは十分理解していましたが、エントリーモデルの価格はだいぶ手に取りやすい設定にしていたのかも?
ブランドによって状況は異なるようで、「グッチ」は内外価格差が拡大した模様。記事では、欧州で代理購入するビジネスが活発になるだろうとしています。今後、ワクチン接種完了で海外旅行が解禁になれば、中国人旅行客の欧州での爆買いも大いにありうるでしょうね。
いろいろ考えさせられる記事でしたが、もはやラグジュアリーブランドの成長は中国なしには語れないという状況です。「中国の消費者が値上げを気にしている様子はあまりない」というのも、この大幅な値上げを後押ししているんだろうなと感じました。
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