ミズノの2021年3月期連結業績は、売上高が前期比11.4%減の1504億円、営業利益が同39.2%減の38億円、純利益が同19.0%減の37億円だった。新型コロナウイルス感染拡大により、個人消費の落ち込みやスポーツイベント・競技大会の中止といった厳しい状況が続き、全ての地域で減収となった。経常利益は、為替差益などの営業外収入で0.7%減の60億円にとどまった。
国内の売上高は同9.9%減の1063億円。ただ、野球やサッカー、ゴルフなどのアウトドアスポーツ事業は6月以降に回復基調となり、下期で前年同期を上回った。機能素材を用いたマウスカバーはSNSで話題を呼び、70億円の売り上げを記録した。その他、19年に設置した企業制服などのワークビジネス事業が同24%増と好調だった。
米州(北米・南米)の売上高は同6.9%減の180億円だった。バレーや野球などのチームスポーツが苦戦したが、ゴルフやランニングなどの個人スポーツは回復しつつある。欧州の売上高も同14.5%減の130億円だったが、ゴルフが前年超えとなった。アジア・オセアニアの売上高は同24.1%減の130億円。期初に中国での小売り事業の大半を直営からライセンスに切り替えたことで、中国事業は減収ながら黒字化を達成した。
22年3月期は、売上高で前期比16.3%増の1750億円、営業利益は同31.4%増の50億円、純利益は同6.6%減の35億円を見込む。「バラつきはあるが、各国でワクチン接種が進み、経済活動がある程度正常化する」(水野明人社長)。事業別には好調だったアウトドアスポーツを強化し、全カテゴリーでECシステムの改善を図る。
東京オリンピック・パラリンピックについては、「あくまでブランドバリューを作り上げるために重要なイベントで、売り上げが急激に上がることはない。開催されても、されなくても、大きな影響があるとは思っていない」(水野社長)とコメントした。