東レの2021年3月期の繊維事業(国際会計基準)は、売上高が前期比13.4%減の7192億円、事業利益が同38.6%減の366億円となった。コロナ禍の長期化で世界的に消費が減速した。阿部晃一副社長は「衣料用途では過剰な流通在庫があり、需要が世界的に低迷した」という。
地域別では特に東南アジア子会社が低迷した。同地域のグループ連結の繊維事業は、売上高が同26.3%減の1000億円、事業損益は23億円の赤字(前期は48億円の黒字)に転落した。コロナ禍による需要減退に加え、この数年不振の続くポリエステル/コットンの混紡(T/C)素材事業の構造改革の遅れが影響した。中国の繊維事業は売上高が同3.2%減の1984億円、事業利益は同13.8%減の168億円だった。
一方、好調だったのは韓国エリア。売上高は同5.5%減の796億円と減収だったものの、事業利益は倍増の68億円となった。韓国子会社で主力とするポリエステル短繊維が、マスク用の不織布需要の増加で好調だった。
22年3月期の繊維事業の見通しは、売上高が同13.4%増の8150億円、事業利益が同50.3%増の550億円。20年9月以降から緩やかな回復基調となっており、「22年3月期を通して衣料、非衣料ともに同様のペースで回復を続ける」(阿部副社長)と見る。