三越日本橋本店といえば、日本を代表する老舗百貨店として、60〜70代客を中心に支持が厚い。その中にあって、比較的若い50代客を集めることに最も成功している売り場が、本館3階の自主編集売り場「ミグジュアリー」だ。「今の時代は服だけを提案しても売れない。シーン提案を重視している」(山口賢一三越日本橋本店ミグジュアリーショップバイヤー)ことがその秘けつだという。
シーン提案を強く意識するようになったきっかけの一つがコロナ禍。昨年4〜5月の自主休業期間を経て、6月以降も客数がコロナ前のようには戻らない中で、客のニーズをより深く探るべく店頭でアンケートを実施。「アンケートで『何に興味がありますか』とお客さまに尋ねても、まずファッションだとは返ってこない。『スポーツに興味がある』『友達とホームパーティーをするのが好き』といったようにシーンで回答されるケースが多いので、『それならこの商品はどうですか』と、服だけでなくワインなどの服以外のカテゴリーの商品も含めて提案する」ことを心がけている。「シーン提案から入ると話を広げやすく、お悩みの解決や、思ってもいなかった商品との出合いにつなげやすい。(さまざまな品目を扱う)百貨店ならではの強みが発揮できる」という。
店頭アンケートとほぼ時を同じくして、社内のシステム部と連携した三越伊勢丹のECの導線分析も開始した。「ECで何が売れそうで売れなかったのか、サイト内をどんな順番で回遊しているかといったことを、店頭の品ぞろえに反映するようになった」という。
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