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銀座に最大店オープン、「フェラガモ」とコラボ 「フォーナインズ」が挑む眼鏡革命

 眼鏡企業フォーナインズ(999.9)は、旧態依然とした体質が残る眼鏡業界の中にあって、青山や銀座などのファッションエリアに路面店を構えたり、百貨店1階に出店するなど、日本の眼鏡ブランドとしては先駆的な動きを見せ、新しい存在感とビジネスの可能性を広めてきた。この果敢な挑戦は、コロナ禍でも止らない。

 このたび明らかになった2つのニュースも「フォーナインズ」らしい革新性がある。1つは、イタリアのファッションブランド「サルヴァトーレ フェラガモ(SALVATORE FERRAGAMO)」(以下、フェラガモ)とのコラボレーションモデルの発売。「フェラガモ」のライセンシーであるアメリカ・ニューヨークの眼鏡企業マーション アイウエア(MARCHON EYEWEAR)との契約で、まず日本の主要眼鏡店と一部の「フォーナインズ」直営店で販売される。マーション アイウエアのアジア太平洋地域担当マネジング・ディレクターのマテオ・ガエタ(Matteo Gaeta)マーション ジャパン社長は、「今回ファッションブランドのアイウエアとして、フォーナインズと初めてのコラボレーションを成功させることができたのは大変光栄であり、日本のアイウエア業界に新たな可能性を示すことができたと考えている。この素晴らしいプロジェクトに賛同いただいた飯村社長はじめ、フォーナインズのチームの皆さまに感謝申し上げる」とコメントした。商品は9モデルあり、価格は5万3900円と5万9400円。

 そして、もう1つのニュースは銀座4丁目のレンガ通りに「フォーナインズ」最大の店舗をオープンすることだ。「良い眼鏡の本質を伝えたい」という飯村祐一フォーナインズ社長に、2つの戦略について聞いた。

WWD:「フェラガモ」とのコラボレーションモデルが、今週(5月17日の週)から順次発売される予定だ。眼鏡業界では画期的な取り組みだが、実現の経緯は?

飯村祐一フォーナインズ社長(以下、飯村):約2年前、IOFT国際メガネに出展した際、ブースが近くだったマーション ジャパンと交流があり、マテオ・ガエタ社長と話が進んだ。商品への印字やパッケージ、デモレンズの刻印も「999.9 | Salvatore Ferragamo」のダブルネームとなっており、互いの知名度や品質の信頼感の向上など相乗効果につながればいい。5月下旬から中国、香港、シンガポールの主要眼鏡店でも販売される予定で、将来的に北米での取り扱いも検討されている。現在、「フォーナインズ」の海外の販売先は、現地法人と直営店があるシンガポールをはじめ、マレーシア、台湾、インドネシア、タイ、ベトナム、韓国、香港、中国など約450店舗(国内は約600店舗)に広がっている。今後のグローバル化の後押しになることを願っている。

WWD:最大店舗オープンは、大きなニュースだ。銀座には、98年に3丁目にオープンした初の直営路面店、銀座並木通りsalon、ギンザ シックス(GINZA SIX)店の3店舗がある。7月1日にオープン予定の新店舗のコンセプトは?

飯村:3丁目の現本店と銀座並木通りsalonをクローズし、統合して新生フォーナインズ銀座本店とする。3フロア構成で、店舗面積は約460平方メートル。コロナ禍だが、以前から構想を練っていたプロジェクトが実現した。「フォーナインズ」最大の旗艦店として、ブランドの全てを表現した、期待を裏切らない店作りをしている。「フェラガモ」も販売する予定だ。

WWD:新しいサービスは?

飯村:東京・成城の社屋にある「フォーナインズ ビジョンラボ」(スポーツビジョンのトレーニングや目のケアをサポートする施設)を新店舗の3階に移設する。ここでは現在、多くのアスリートが目のパフォーマンス向上のために利用しているが、早期に一般ユーザーにも開放したい。

WWD:フォーナインズは、眼鏡フレームとサングラス「フォーナインズ・フィールサン」をスポーツ選手らに提供することを通じて支援するプロジェクト「フォーナインズ スピリットサポート」を進めており、あらゆる種目の対象選手やチームが増えている。

飯村:プロゴルファーやレーシングドライバーなど多岐にわたり、東京オリンピック出場を目指すアスリートもいる。4月の大会(第55回織田幹雄記念国際陸上競技大会)で、女子100メートル障害の日本記録を更新した寺田明日香選手(ジャパンクリエイト)もそのひとり。彼女は陸上競技に復帰した当初から「ビジョンラボ」でトレーニングを積んできたが、先日の大会後に、その効果を実感したという主旨のメールをいただいた。

WWD:コロナ禍の厳しい商況が続くが、どう対応する?

飯村:営業自粛もあってビジネスは影響を受けたが、この1年、「フォーナインズ」のスタンスは何も変わっていない。何か変える必要もないと思っている。ブランドとして、ブレてはいけない部分がたくさんある。今年、春の展示会としては、過去最高の商談金額を記録した。今の「フォーナインズ」は正しい道を歩み、厚い信頼を得ている証左だと思う。今後は、お客さまとの関係性をさらに強く、広く、深めていくことに努めたい。その役割を果たすのが、新しい銀座本店だ。

WWD:ブレない「フォーナインズ」の強みとは?

飯村:「眼鏡は道具である」という創業当初からのコンセプトを貫き、掛けやすい、壊れにくい、調整しやすいといった視力矯正器具としての機能を進化させていることだろう。リモートによる仕事や授業が増え、眼鏡の需要が高まっているが、安価な眼鏡に手を出して、こんなものかと落胆している消費者も多いと思う。良い眼鏡とは何か。「フォーナインズ」は、その本質を伝えるブランドでありたい。

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