「ファッション&ビューティも政治を語る」
絶賛販売中のWWDJAPAN最新号で、不定期ながらの新連載「ファッション&ビューティも政治を語る」を立ち上げました。今も時々、「知らないんだから、ファッションやビューティは政治を語るな」とのコメントをいただくことがあります。確かに、その言葉の全てを否定するつもりはありません。でも、例えば初回の連載で取り上げたウイグル自治区の新疆綿から、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休業要請に至るまで、私たちだって個人も、組織も、政治の影響を受けています。なら「語ってもいいですよね?」と思うのです。
初回の執筆者は、10年以上昔になりますが、一緒に仕事していた元WWDJAPANの編集・記者です。実に、実に骨太な意見を、およそ3500文字に渡って書いてくれました。素直に「頼もしいなぁ」と思いました。そして一緒に考えた新連載の冒頭には、彼女からアイデアを拝借した「語ってもいいくらい、ファッションやビューティも政治を学ぶ」という一文を加えました。なるほど、私の「語ってもいいですよね?」より、「語ってもいいくらい、ファッションやビューティも政治を学ぶ」の方が、業界の真摯な姿勢が垣間見えたり、「知らないんだから、語るな」という人たちの神経を逆撫でしないかもしれません(笑)。どうも私は闘争本能が高めみたい。そのあたりの”さじ加減”含め、「頼もしいなぁ」なのです(笑)。
3500文字というボリュームですから、雑誌よりも大きなWWDJAPANでさえ、ページは文字でパンパンです。残念ながら一部を削り、寄稿者以外の写真は断念しました。「ファッション&ビューティも政治を語る」という連載のタイトル、「ウイグル問題は、俯瞰的に見ることが欠かせない」という今回の見出し、そして文字だらけのページ……。圧迫感、満載です。5月の刷新以降、週刊紙のWWDJAPANでは“読みやすさ”を意識しています。雑誌っぽいレイアウトを取り入れたり、文字数をこれまでの75~80%に控えたり、余白の効果的な使い方を考えたり。これまでのWWDJAPANの「新聞感」「『届けたい!』という思いゆえ、陥りがちだった詰め込み」「エンドユーザーも取り込んでいるデジタルとの差別化を念頭においたプロっぽさ」などのネガティブサイドを重く受け止め、デジタルも併用しているユーザーの使い勝手を想像したものですが、「ファッション&ビューティも政治を語る」のページは毛色が違うかもしれません。
実際、校了前に社内の数人に見せたところ、文字ばかりのページの重苦しさや、トピックス、確かに他のページよりは難しい文章などに対して、「みんな、読んでくれるのかな?」というリアクションもありました。コレが手元に届いた皆さんの中でも、「うわぁ」なんて思った方もいるでしょう。
でも、私は届けたかった。この記事に触れていただくことは、「知らないんだから、ファッションやビューティは政治を語るな」と言われないための一助になるのでは?って思ったのです。もちろん、まだまだわかりやすい文章にできたかもしれないし、日頃からこの手のコンテンツを発信し続けて敷居を下げる努力は継続します。形となって現れた政治にまつわるコンテンツは、どう受け止められるでしょうか?業界の皆さまにおいては政治への関心がもっともっと高くなることを願いつつ、たまたま手にした(この後、デジタルでもアップします)業界以外の読者の皆さまには「ファッション&ビューティも、政治を考えようとしているんだな」と思う契機になれば。そんな理想像を思い描きながら、このページを印刷所に送った次第です。
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