27歳のモリー・バーク(Molly Burke)は、現在200万人のチャンネル登録者を抱える人気ユーチューバーだ。明るい性格でファッションやビューティ、ライフスタイル系の動画を得意とし、一見ほかのインフルエンサーと変わらないよう。だが多くのフォロワーを引きつけるのは、赤裸々に発信する自身の障がいに関するコンテンツだ。彼女は視覚障がい者として、障がいの認知と理解を高めるためにさまざまな動画を投稿している。
最も視聴回数が多い動画は「盲目ユーチューバーがスカイダイビングに挑戦」や「視覚障がい者に色を説明するとどうなる?」「聴覚障がい者vs視覚障がい者」といったコンテンツで、ときにはシリアスに、ときにはユーモラスに視覚障がいについて発信している。彼女は4歳のときに網膜色素変性症と診断され、14歳のときに視力を失った。学校ではいじめにあい、視力を失ってからは鬱病を患ったが、20歳のときにユーチューブをスタートしたことがきっかけで人生が大きく変わった。もともとモチベーショナルスピーカーとして自身の経験を人前で話すことは多かったが、ユーチューブを通して大好きなファッションやビューティを絡めたコンテンツを発信し、世界中の視聴者にリーチできるようにもなった。
ビューティ業界のアクセシビリティについて指南
そんなモリーは、メイクアップのハウツーやショッピングレビューなどを多くあげている。ユニバーサルデザインを導入している企業もあるが、未だビューティの世界は、視覚障がい者には不自由が多い。ビューティ媒体の「アリューア(ALLURE)」の動画では、自身の体験の元、不便に感じるビューティ製品について語っている。例えば高熱の金属パーツが剥き出しのヘアアイロンは健常者に比べて火傷のリスクが高いことを説明。そこでモリーがオススメするのは、“風”で髪をスタイリングする「ダイソン(DYSON)」の“エアラップ”だ。またアイシャドウやチークパレットなどは触っただけでは違いが分からず、「パッケージにエンボス加工を施していると助かる。たくさんの色が入っているパレットはきちんと仕切りを作らないと、色の境目が分からなくて不便」と指南。ファンデーションに関しては「円形のパッケージは転がりやすく、中身が溢れるとその範囲が見えなくて片付けが大変」と話す。
そのほか「目が見えない人は生理のときにどうする?」という動画では、「経血が見えない中で、どうやって生理が来たか分かるの?」という疑問に対して、自身の体験を踏まえながら答えている。PMS(月経前症候群)の症状を意識するようにしたり、アプリを用いて生理周期をトラッキングしたり、母親におりものを見てもらったりするなど、包み隠さずに語っている。コメントの中には、似たような経験をした若い女の子から「勇気づけられた」といった感謝の言葉も。動画は228万再生を超えており、多くの視聴者の関心を引いている。
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