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驚異的なファスナー着用率、あなたの通勤スタイルはファスナー何センチですか? エディターズレター(2021年5月24日配信分)

※この記事は2021年05月24日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

驚異的なファスナー着用率、あなたの通勤スタイルはファスナー何センチですか?

 弊社も含め、絶賛リモートワーク中の皆様も多いかと思われますが、たまの出勤時に密かにこの5年くらい実行しているのが、ファスナーの着用率の計測です(目視)。きっかけはその少し前に行ったYKKの猿丸雅之会長の取材でした(当時は社長)。年間販売100億本を目指す、そんな話がメーンだったのですが、それとは別に余談として、YKKは世界72カ国に拠点があるため、世界中の拠点を巡ることが多く、大型のショッピングセンターから、それこそアジアの青空市場まで、行けば必ず服をひっくり返してファスナーを見るようにしている、ということをお聞きしました。猿丸会長の語るファスナーを通して見る世界は大変興味深く、そして示唆に富んでいて、ぜひ皆様にも共有したく思っていますが、それはまた別の機会に。

 朝の通勤の最中に、そんなことを思い出しながら大江戸線六本木駅の長いエスカレーターを上がっているときに、ふと周りを見渡してみたのです。前方に立っている人、向こう側のエスカレーターで下ってすれ違う人、エスカレーターを登っていく人、改札ですれ違う人、ほとんどの人が服やバッグにファスナーを使っている。ちょっとした驚きでした。

 もう5年になるので最近は、どこに使用しているだけではなく、何をどのくらい使用しているかも予想しています。

 スーツを着ている人(ズボンのチャック、およそ10cmくらい)、ブリーフケース(ファスナー多め、合計1mくらい)、スポーツテイストのジャケット(軽量化のためコイルファスナー、前身頃とポケットで合計60cm)、スカート(こちらもフックの下辺りにコイルファスナー、5〜7cm、推測です)、ミリタリー系のウエア(銅合金系、前身頃やポケットに合計40cm)、ジーンズ(股上、10cm)、財布(小銭入れ部分に大体ついている、10〜15cm)、旅行者=旅行バッグ(外側と内側に使用しており、一番長い。2〜3mくらい?)、ロングブーツ(20〜30cm)などなどです。

 ただ、おおよそ5〜7%(横山調べ)の確率で、ファスナーを全くつけていない人もいます。トップスにTシャツ、下がスウェット、手ぶら、あるいはポーチ系のバッグ(開閉のところがマグネットが多いから)系のスタイルの人。あるいは、ガチなヴィンテージファッションの人(ボトムスはボタンフライ、トップスもボタン)。

 最近は“ノンファスナースタイル”の人を比較的瞬時に見分けられるようになりつつあります。この観察、何か役に立たないかなあ、とうっすら思う中で、導き出した答えがいくつかあります。そもそもファスナーはなぜこんなにも誰もがつけているのか。服を留める、ということをYKKがあらゆる点から地道な革新を続けているからなのかなあと思います。複数の関係者の見方の一つに「ファスナーは経済発展と成熟とともに装着率が上がる」というものがあります。ボタンフライ、あるいはボタンで留める方が壊れたときに修理しやすいが、ファスナーの方が生産性が高い、あるいは最終消費者にとって便利だから、なので経済発展に伴って、ファスナー化が進むというものです。大量消費への批判が高まっているのでこの見解は今ではあまり語られづらい部分かもしれませんが、的を得ていると感じます。

 もう一つがファスナー自身の進化です。かつて、アスレジャーが流行るとファスナーの着用率が下がるという懸念がありました。ニットパンツにはファスナーが必要ないからです。ではスエットがブームになってファスナーの市場規模は落ち込んだか。そんなことはなく、逆にトップスでアウトドアやスポーツウエアが広がった結果、ファスナーの使用量は増えていると見られます。Tシャツなどには必要ないものの、アウター系のアイテムにはどうしたって留め具が必要で、高機能化が進めば進むほど、軽量のコイルファスナーが使用されるからです。この10年でYKKの最大のヒットアイテムの一つである防水・止水ファスナーは、アスレジャーブームとほぼ同時期にブレイクしています。

 みたいなことを考えたりしますが、正解はわかりません。あまり需要はなさそうですが、ファスナートークで熱く盛り上がりたい、そんな方がいましたら連絡をください。よろしくお願いいたします。

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