ドイツの小型電気器具メーカーの「ブラウン(BRAUN)」が創業100周年を記念したプレスカンファレンスを開き、アンバサダーとしてヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が登場した。過去に「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)」とのコラボプロジェクト “OFF-WHITE c/o BRAUN”で、目覚まし時計“BC02”や、1965年の壁掛けオーディオを復刻した“ワンダンラージ(WANDANLARGE)”を発表。“機能的アート(Functional Art)”と“機能主義”をコンセプトに掲げて、両者はプロダクトを制作している。またヴァージルはこれまでスイスの家具「ヴィトラ(VITRA)」や「イケア(IKEA)」とのコラボレーションを行うなど、アパレル以外でも独創的なデザインを生み出してきた。あらゆるジャンルのクリエイティブを横断する同氏に、アイデアの根幹や制作のプロセスについて聞いた。
WWD:あなたがデザインする際のインスピレーションは?
ヴァージル・アブロー(以下、ヴァージル):人との対話です。今はインターネットでたくさんの人とつながれますし、さまざまな人との会話が入り口になっています。デザイナーになることを夢見るたくさんの若者からも刺激を受けています。彼らのようなデザインコミュニティーの中から、新時代のエッシャー(Escher)のような才能が登場するかもしれませんよ。
WWD:対話からどうデザインに発展させている?
ヴァージル:私のデザインプロセスは、世界全体を理解することから始まります。対話から生まれたいくつものアイデアが世界全体とどのように共鳴するのかを考えて、徐々にデザインへと発展させています。
WWD:形にする上で最も重要なことは?
ヴァージル:一番大切なのは、可能性を理解することです。生み出したデザインが人類にどのように貢献し、何を生み出すのか、その可能性について常に考えています。例えばブラウンの壁掛けオーディオを復刻した“ワンダンラージ”は、過去の名作を通して新世代の若者に歴史を伝えることができる。素晴らしいデザインとは、時間の経過とともにデザインそのものが持つ意味を更新することができるのです。
WWD:ブラウンの製品は、“機能的なアート”になり得る?
ヴァージル:もちろん。卓越したデザインはアートだけを指すものではなく、椅子や音楽機器などの機能美を追求した製品もアート作品になり得ます。ブラウンの製品にプロダクトデザイナーとして関わってきたディーター・ラムス(Dieter Rams)が生み出したデザインは、ほかのブランドにはない特別な何かを感じます。
WWD:あなたにとってデザインとは?
ヴァージル:私にとってデザインとは、人々に概念を提案することです。デザインは時間のように一定のペースで流れていくもの。継続的にデザインすることとは、新たなストーリーを紡いでいくことなのです。
WWD:日本のファンにメッセージをお願いします。
ヴァージル:日本は素晴らしいインスピレーション源です。ファッションが素晴らしいだけでなく、芸術と文化からも刺激を受けています。早く日本に行ける日が来ること願っています。