三越伊勢丹は都内4店舗のラグジュアリーブランドの売り場を5月23日から再び休業する。松屋も24日からラグジュアリーブランドを休業する。東京都が直接ラグジュアリーブランド側に休業要請を求めたことを受け、ブランド各社と協議して決めた。今週に入って都はラグジュアリーブランド側に対し、路面店の休業要請の働きかけを始めた。これまで事実上、百貨店やショッピングセンター(SC)に限られてきた休業要請がラグジュアリーブランドの大型旗艦店などに波及する可能性がある。
伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店、伊勢丹立川店で休業対象となるブランドはあす22日までに正式にアナウンスされる見通し。大丸松坂屋百貨店、高島屋は営業見直しについて「現時点(21日18時)では決まっていない」としている。
百貨店と東京都は「高級品」を巡る解釈でせめぎ合いを続けている。緊急事態宣言が延長された12日以降、百貨店各社は営業エリアを拡大した。休業要請の対象外である「生活必需品」の範囲を広げることで、衣料品やラグジュアリーブランドを含めた売り場の大部分の営業を再開していた。
しかし東京都は、ラグジュアリーブランドを生活必需品に入れた百貨店の対応を問題視した。都が日本百貨店協会に対して12日に提出した要望書では「豪奢品(ごうしゃひん=並外れてぜいたくな品)」の販売をやり玉にあげ、14日には小池百合子知事が会見で「高級衣料品は生活必需品に当たらない」と釘をさした。さらに都の担当者は百貨店やラグジュアリーブランドを直接訪ねて休業を求める行動に出た。
都の強硬な姿勢を受け、そごう・西武は20日からラグジュアリーブランドを再休業している。三越伊勢丹は営業継続するものの、19 日からブランドと協議した上で豪奢品に相当する商品を売り場から下げていた。ブランド側が休業したいと申し出れば、他の都内百貨店やSCにも休業が広がることが予想される。また都が直接ブランド各社に働きかけたことで、商業施設以外の大型旗艦店の休業に発展することも考えられる。緊急事態宣言は5月末以降も延長される公算が高く、影響は大きくなりそうだ。
ある百貨店の関係者は「ラグジュアリーブランドはそれほど混雑しないし、人流の抑制にさほど効果があるとは思えない。東京都は営業エリアを拡大した百貨店に対し、意地になっているのではないか」と述べた。