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名門繊維商社のフォワード・アパレルが自主廃業へ、今年末で清算手続き開始

 香港の大手商社フォン・グループ(FUNG GROUP)傘下の繊維商社フォワード・アパレル・トレーディング(旧兼松繊維)は21日、年内をめどに自主廃業すると発表した。コロナ禍の影響でビジネス環境が悪化する中、「将来に向けての事業継続が困難であるという判断に至った」(同社)という。21日から取引先には本格的に告知を始めたが、すでに22年春夏に向けた受注は停止しており、年内までに全ての製品のデリバリーを完了する予定で、「顧客・仕入先・その他の関係者には一切のご迷惑をおかけしない」という。

 大手繊維商社は今年に入って、日鉄物産の繊維部門と三井物産の繊維部門の中核会社である三井物産アイ・ファッションの統合、蝶理による住友商事のOEM子会社スミテックスインターナショナルの買収など、統合・再編が相次いでいる。

 官報によるとフォワード・アパレル・トレーディングの2019年12月期の業績は、売上高が122億円、営業利益が7300万円、経常利益が4700万円、純利益が1億800万円。総資産36億9700万円に対し、純資産は13億4600万円だった。同社によると、「18年末までの長期借入金はすべて返済済みで、20年度も黒字。解散時にも短期借り入れを含めた全ての債務を履行するのに充分な試算を有しており、解散後は全ての債務を完済できる」という。

 同社は、大手商社である兼松の祖業である羊毛貿易をルーツに持つ名門繊維商社の一つ。リー&フォン(LI & FUNG)は2007年に兼松の繊維部門である兼松繊維の株式55%を取得、2012年に100%子会社化し、15年1月に名称を現在のフォワード・アパレル・トレーディングに変更していた。アパレルや雑貨などのOEM(相手先ブランド生産)とODM(相手先ブランドの企画生産)を主力に、一部でブランドのインポートなども手がけていたが、直近ではブランド事業からは撤退し、OEMとODMがほぼ主力になっていた。また、現在はリー&フォンの親会社にあたるフォン・グループの傘下に入っていた。

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