毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2021年5月24日号からの抜粋です)
村上:徳永啓太さんに初めて会ったのは10年以上前でした。東コレの会場や展示会でデザイナーたちと親しそうに話しているのを見て、「車椅子で金髪で、この人、何者なんだろう?」というのが第一印象でした。勝手ながらファッション業界で存在感を発揮すべき人物だと思っているので、社外の方が監修する特集に挑戦しようというこの機に、お声掛けしました。
美濃島:僕も徳永さんは東コレの会場などでお見かけしていたので、今回一緒に特集を作れて、うれしかったです。僕は身内に身体や精神に障がいのある人がいないこともあり、いろいろと考えるいい機会でした。
村上:特集タイトルは徳永さんが考えたもの。「“1%”は身体的な障がいを持っている人だけを指すわけではなく、皆がある観点においてはマイノリティー。だからこそ“1%”を意識した業界になっていけたらという想いを込めています」と聞いて、「なるほど」と感心しました。
美濃島:「誰もがマイノリティーだ」には僕も共感します。ほかにも「True Colors Festival」のディレクター、金森香さんの「すぐに正解を求めなくてよくて、まず議論することが大事」という言葉に納得しました。アダプティブ・ファッションにおいては、アップデートや試行錯誤すること、そういう土壌を作ることがまず大事だなと。
村上:出来上がったモノに対してでないと、プロじゃない着る側は洋服に求めるものを言うのって難しい。だから、まず服を作らないことには、議論が始まらないよね。目の前の人たちが求める、美しくて機能的な服への欲求にデザイナーが真摯に応えているのを見て、改めてファッションには人を幸せにする力があると感じました。障がい者向けの洋服って考えちゃうとビジネスとして成立させるのは難しいけれど、搭載した機能にはお年寄りや僕たちにも便利なものが少なくない。そういった部分が広がり、身体の多様性を考える契機になればいいなと思います。
美濃島:僕自身、徳永さんと一緒に働くことで「変に構えることがナンセンスなんだ」と実感しました。
村上:今回の特集はあくまでスタート。徳永さんには今後、連載をお願いするつもりです。お楽しみに!