ベルリンを拠点に「ゲーエムベーハー(GMBH)」を手掛けるセルハト・イシク(Serhat Isık)とベンジャミン・A・フゼビー(Benjamin A. Huseby)が、イタリアの老舗ブランド「トラサルディ(TRUSSARDI)」のクリエイティブ・ディレクターに就任した。二人は今後、デザイン、イメージ、ブランディングのすべてを統括し、新たな方向性でブランドの再生に取り組む。デビューコレクションは、2022-23年秋冬シーズンに披露する予定だ。
テーラリングを得意とし、ベルリンの大学でファッションを教えていたトルコ系ドイツ人のイシクと、ノルウェーとパキスタンにルーツを持ち、写真家やアーティストとして活動していたフゼビーは、16年に「ゲーエムベーハー」を設立した。18年春夏からはパリ・メンズ・ファッション・ウィークに参加し、メンズを中心にしつつもジェンダー・フルイドなコレクションを発表。ベルリンのクラブカルチャーや入り交じる文化背景の影響を受けたデザイン、デッドストックやリサイクル素材の活用したものづくり、多様性のあるキャスティングなどで知られる。就任に際して、二人は「『トラサルディ』には、伝統とまだ眠ったままの大きなポテンシャルがある。そんなブランドを新たに構築するという可能性に引かれた」とコメント。なお、今後も「ゲーエムベーハー」の活動は継続する。
一方、1911年の創業以来ファミリー・ビジネスを続けてきた「トラサルディ」は、2019年に企業再建に定評があるアンドレア・モランテ(Andrea Morante)会長率いる投資会社のクアトロアール(QUATTROR)の傘下に入った。20年10月には、セバスチャン・スール(Sebastian Suhl)前ヴァレンティノ(VALENTINO)グローバルマーケット部門マネジング・ディレクターが最高経営責任者に就任。創業者のひ孫にあたるトマソ・トラサルディ(Tomaso Trussardi)は、会長を務めている。また、同じく創業家出身のガイア・トラサルディ(Gaia Trussardi)=クリエイティブ・ディレクターが18年4月に退任して以降、後任は指名されていなかった。