世襲は、作り手も買い手も?
創業者の娘であるアンジェラ・ミッソーニのクリエイティブ・ディレクター退任は、ちょっと驚きのニュースでした。とはいえ社長は続投ですからブランドビジネスに欠かせない人物であることは間違いありませんが、24年間務め上げた第一線から退き、そのバトンをファミリー以外の人物、長年の右腕ではあるものの「ミッソーニ」の苗字を持たない人物に託したのです。
>「ミッソーニ」のクリエイティブ・ディレクターが退任 後任は創業家の外から
ファミリービジネスは、良いのか?悪いのか?白黒ハッキリつけたかった10年くらい前は「チャンスは、創業家以外にもあるべきだ!」とか「世襲なんて時代錯誤‼︎」くらい思っていましたが(笑)、「キートン」ファミリーに出会って以来、「良い面もあるんだな」と思うようになりました。「キートン」は、「第一世代から第二世代、そして第三世代とバトンを受け渡すことは既定路線。だからブランドは、定期的に、必然的に若返るんだよ」と言います。実際「キートン」では数年前、アクティブウエアまでスタートして既存のファンには新たなスタイルを提案。と同時に若い世代が王道のスタイルを楽しみ始めるという面白い現象が起こり、「これが、強制的にまで断行する“新たな血”の効果なのだろうか?」なんて考えたことがあります。
上述の「若い世代」には、既存のファンの第二、第三世代も含まれます。ということで最近は、買い手側の世襲についても考えるようになりました。百貨店の外商、ギンザ シックスのような商業施設の上顧客には、「上顧客の2代目、3代目」という人が多いらしく、「ギンザ シックス」の今春の改装は、彼らを多分に意識しています。「リック・オウエンス」や「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー」「ザ ロウ」「ホーセンブース」などは、明らかにそんな方々に向けたラインアップでもあります。
「上顧客の2代目、3代目」は、何を受け継ぎながら、どうやって一家のお買い物に“新たな血”を注ぐのでしょう?家族から伝統あるブランドの魅力を聞きながら商品にも触れ、納得したり、ある部分では反発しながら自分らしい嗜好を築き上げるのでしょうか?一度、詳しくお話を伺ってみたいなぁ、と思っています。
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