社会・環境問題に等身大の視点で語るZ世代モデルの長谷川ミラが、サステナブルな取り組みを推進するビューティ企業にインタビューを敢行した。「Sustainability as the Only Path」(豊かな持続的社会への道を歩む)を掲げ、生活者一人一人がその主役となれるように、人・社会・環境に配慮したモノ作りや情報提供を行う花王に、海洋プラスチックごみやごみ廃棄問題について聞いた。
長谷川ミラ(以下、長谷川):ドラッグストアやスーパーなど、多くの人が気軽に訪れる店舗にある商品が環境に配慮していることって大切ですよね。私の友人は詰め替え用の“ラクラクecoパック”をそのまま使っています。TikTokではS字フックでタオル掛けなどにかけて使えるボディーケア商品をよく見かけます。
大谷純子=花王 ESG部門 部門推進・ESG広報担当部長(以下、大谷):当社はシャンプーやコンディショナー、化粧品などの容器の大半がプラスチックのため、プラスチックの量を削減できる革新的な詰め替え用フィルム容器を提案し続けています。“ラクラクecoパック” は通常のボトルに比べてプラスチック使用量を80%削減できます。その成果があり、現在詰め替え・付け替え製品の販売数が全体の80%強を占めます。ただ、詰め替え用フィルム容器は大幅にプラスチック使用量を削減できるものの、デメリットもあるんです。中身を保護し遮光性を持たせないとならないため、複合素材で作られています。複合素材だとリサイクルしづらく、それを改善する研究は継続しています。
長谷川:御社のような大手企業が先頭に立って取り組むのは影響力がありますよね。日本でSDGsが広がらないのは企業ごとに発信しているからなのでは。最近、サステナブルな社会の今後を語るキーワードは“コラボレーション”だと思っています。競合や異業種企業とコラボすることで、優れた容器開発や製品の梱包、手頃な価格設定なども実現できるのではないでしょうか。
大谷:当社は2015年から循環型社会への新しい仕組みやライフスタイルの提案を進めており、16年から神奈川県鎌倉市で使用済みの詰め替えパックの回収を実施しています。回収されたパックは「おかえりブロック」と名づけたブロックに再生加工され、このブロックで作成したベンチが江ノ島電鉄(江ノ電)の江ノ島駅休憩室に設置されました。海洋ごみやプラごみの問題は残念ですが続いています。昨年9月にはフィルム容器のリサイクルに関してライオンとの協業を発表しました。業界的にはライバルですが、共に使用済みフィルム容器から再度フィルム容器を作る水平リサイクルの実用化を目指します。また先日、ユニリーバ・ジャパンともボトル容器の水平リサイクルの取り組みを開始しました。
長谷川:それって結果的にすごい売り上げが伸びそう。長く愛されるブランドにもなると思います。特に私たちZ世代はそこを重要視していますから。真剣に取り組んでいる企業のことはTikTokで拡散されますよ。そうなると「花王って昔からこういうことやってたよな」と、頭に残りますよね。
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