「標準色」がなくなった!!
ビューティの世界は、8月発売の秋コスメの発表会ラッシュ。先週末は「スック」も、オンライン発表会を開催です。
「スック」は今秋、“諭吉ファンデ”と呼ばれたファンデーションの進化版「ザ クリーム ファンデーション」のカラーバリエーションを拡充します。ちなみに“諭吉ファンデ”とは、財布から福沢諭吉が1人旅立ってしまうけれど、その価値があるファンデーションのこと(笑)。そんな通称があるくらいですから、この「ザ クリーム ファンデーション」は大いに売れているワケで、カラーバリエーションが豊かになるのはビジネス的にも、いろんな肌色の消費者ニーズ的にも納得なワケですが、その拡充の方法が“ちょっとイイ話”でした。これまで12色だった色を、“ほぼ倍”の23色にしたのです。
「どうせなら、倍の24色にすればいいのに!!」と思ったアナタは鋭い人です。23という素数より、いろんな約数を持つ24の方が「2列陳列」とか「3列ディスプレー」「4×6の什器に並べて」など、イロイロ便利な気がしますよね(笑)?でも23色になったのは、既存12色のうち1色を廃止したから。なくなったのは、これまでの「定番色」。ナチュラルオークルの102というファンデーションです。
色数が多いファンデーションの世界では、最も多くの日本人女性の肌に馴染むであろう「標準色」を定め、それより明るいとか淡い色を数色、反対にダークトーンとか濃い色を数色展開するのが当たり前だったと思います。そして基準を「標準色」と謳い、消費者が迷った時やプレゼントとして贈る時にオススメするなんて接客も、きっと当たり前だったのでしょう。でもよくよく考えれば、それは「標準色」なのか?って話です。「標準」とは元来「判断のよりどころ」とか「平均的であること」ですから、「標準色」とは「判断のよりどころとなる色」とか「平均的な色」。あながち間違ってはいませんが、例えば誰かが「あぁ、私はフツーより肌のトーンが1トーン暗いんだ……」なんて思っちゃうなら、考えモノなのかもしれません。上述の通り、「標準」=「普通」じゃないんですけれどね。
ということで「標準色」という名称を廃止したのみならず、その色自体を廃盤にしちゃった「スック」は、結構スゴいと思うんです。「これまで『標準色』と呼んでいた102の色は、今後もご利用いただけます」だと、「標準色」という名前が無くなるだけで「ナチュラルオークルが標準なんだ」という既成概念自体は無くなりませんからね。
仮に「スック」が「平均的な色」という意味で「標準色」という言葉を使っていたのだとしたら、きっと多くの女性が購入していたであろう色を捨て去るコトなワケで、大した勇気です。もちろん、残った11色と、新たに加える12色がそれを補ってくれるのだと思います。
余談ですが、この品質も心意気も天晴な“諭吉ファンデ”は、2024年以降“栄一ファンデ”と呼ばれるようになるのでしょうか?
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