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連載 ビューティ業界のサステナビリティ

美・食・小売り担当のスペシャル鼎談 消費者に選択肢を提供し持続可能な社会を実現

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 持続可能な社会を実現するためには環境や経済活動など一人一人が自分ごとに捉えることが必須だ。美容・健康にはもちろん、地球にもよい取り組みはさまざまな形がある。10年以上前から地球にも自分にも自然体でいることが美しいと提唱する「スリー(THREE)」などを有するACROの宮﨑稔章社長と、肉とビーガン料理の選択肢を広げるグリルレストランで腕を振るう米澤文雄「ザ バーン(THE BURN)」エグゼクティブシェフ、美と健康を広域に捉え常に新しい提案を行う桑原麻友子三越伊勢丹化粧品営業部計画担当長に、消費者を巻き込みながら活動することの大切さを語ってもらった。(この記事はWWDジャパン2021年5月31日号からの抜粋に加筆しています)

WWDJAPAN(以下、WWD):現在の仕事内容とサステナビリティとの関連は?

宮﨑稔章ACRO社長(以下、宮﨑):ACROの創業が2008年で、最初のブランドである「スリー」が伊勢丹新宿本店に出店したのが09年。13年に旗艦店の「THREE AOYAMA」をオーブンし、ライフスタイルブランドとしてのコンセプトを具現化するということで、スパとキッチン(レストラン)、ショップを併設する店を作った。食と美容は切り離せないものであり、ブランドを表現するものとして、食に対しても大切に取り組んできた。18年の「THREE TOKYO MIDTOWN HIBIYA」オープンを機に、肉と魚を使わないメニューに見直し、コスメだけでなく食においてもサステナブルな要素を背景に展開することとなった。

米澤文雄「ザ バーン」エグゼクティブシェフ(以下、米澤):2018年に青山一丁目に「ザ バーン」というグリルメインのレストランをオープンした。座席数は84席と店舗の面積は広いがお肉を食べられない人が店舗に来られないのは残念だということで、ビーガン料理をメニューに入れることにした。その後19年に「ヴィーガン・レシピ」(柴田書店)というレシピ本を出版し、豊かな海と食文化の守り方を考える一般社団法人「シェフズ フォー ザ ブルー」の理事を務めるなど、サステナブルな食に関連する活動を行っている。20代半ばに5年ほどニューヨークで働いたが、ビーガン料理は日本より進んでいたこともあり、そこで学んだことをベースにいろいろな企画に携わっている。

桑原麻友子三越伊勢丹化粧品営業部計画担当長(以下、桑原):4月から化粧品営業部の計画担当長というポジションだが、その前は3年間、本館地下2階のビーティアポセカリーのバイヤーを務めた。ビーティアポセカリーは化粧品からインナーサポート、食品、女性向けクリニックまで、広い意味で美と健康をとらえた売り場になっている。ナチュラル・オーガニックな化粧品をそろえ、ビーガンなどの提案にも取り組んできた。

WWD:サステナブルな取り組みに注目したきっかけは?

宮﨑:「スリー」はサステナブルがコンセプトではないが、“自然体こそ美しい”という考え方がベースになっている。自然体であることが美しいとする自然美を追求していくと、ブランドとして自然に対する深い敬意が前提となった。その結果、サステナブルであることにつながった。

米澤:「ザ バーン」のコンセプトを作る際に、牛肉についても勉強して深掘りしたところ、牛のゲップはメタンガス(二酸化炭素の50倍以上の温室効果を持つ)を含むので環境に悪いことを知った。ただ、ダメだから排除するという考えは受け入れられなかったし、あれもダメこれもダメと言っていたら、全部止めなければならなくなる。ダメならば替わりに自分でできることはないかと考え、私自身も好きな野菜に可能性があるのではないかと思った。肉が食べられない人は一定数いるし、今後増える可能性も高い。「ザ バーン」は肉が好きな人と野菜が好きな人が融合できる場にしたいと思って作った。店の看板メニューは肉料理だが、実は野菜料理もふんだんにあって最近は野菜料理だけを召し上がるお客さまも随分増えた。提案の仕方によって食の可能性は広がると思うし、選択肢も増える。最近「ディーン&デルーカ(DEAN & DELUCA)」のデリメニューの開発も担当し、“土から生えたものを食べる”を意味する「プラントベース」のカテゴリーを作ったら好評で、野菜への流れを顕著に感じる。

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