アルビオンの2021年3月期決算は、化粧品専門店が健闘したものの百貨店休業による影響を受け、売上高が前期比18.8%減の537億円、営業損益が16億円の赤字(前期は79億円の黒字)、純損益が7億円の赤字(同53億円の黒字)だった。営業赤字は創業以来初めて。
昨年4〜5月の緊急事態宣言で百貨店が休業となり、同社は初の試みとして期間限定でEC販売に乗り出したが「想定する売り上げを確保できなかった。新客開拓にもつなげられなかった」と小林章一アルビオン社長は語る。
部門別では、営業本部(国内)の売上高が同21.3%減だった。チャネル別は専門店が業態店(専門店とアルビオンの協業店舗)が同2.7%増と前年を上回ったものの全体では同10.5%減、百貨店が48.1%減と厳しい結果となった。ブランド別では「アルビオン(ALBION)」の売上高が同23.9%減、「イグニス(IGNIS)」が昨年のリニューアルによる効果があり同6.8%増、「エレガンス(ELEGANCE)」が同20.7%減だった。カテゴリー別では全体の66.9%を占めるスキンケアの売上高が同21.9%減。ベースメイクが同23.5%減、ポイントメイクが同25%減だった。
国際事業部の売上高は同11.6%減だった。ブランド別の売上高は「ポール & ジョー ボーテ(PAUL&JOE BEAUTE)」が同39.7%減、「レ・メルヴェイユーズ ラデュレ(LES MERVEILLEUSES LADUREE)」が同44.6%減、「アナ スイ コスメティックス(ANNA SUI COSMETICS)」が同50.6%減、「アルビオン」が18.6%増となった。「アルビオン」以外の3ブランドでは新製品の発売時期を後ろ倒しにし、既存品の販売に注力したがメイクアイテムが中心だったため売り上げが振るわなかった。「『ラデュレ』は今年ライセンス契約の更新時期だが、今後の取り組みを検討中だ。『アナ スイ』は既存店舗を見直し、eコマース主体にシフトするほか、大型商業施設への出店、ポップアップイベントを強化する。『ポール&ジョー』も近く公式サイトを立ち上げ、情報発信やeコマースで新客とのタッチポイントを増やす」と小林勇介・常務 国際事業本部 本部長は述べた。
同社はここ数年転売業者への対策を講じ、外国人売り上げをあえて絞ってきた。しかし15〜19年度の累計外国人売り上げは約573億円あり、コロナ禍の影響が今後2〜3年続くと予測し年間100億円規模の売り上げが見込めなくなる。「日本人のお客さまで年間15万円以上購入する人の離脱率を調べたところ、専門店と百貨店とも2〜5%程度。一方で15万円以下が30%前後だった。今後は15万円以下のお客さまとの接点を強め、当社のファン作りを推進する」と当面は強固な顧客作りを最優先する。