ファッション企業の2020年度業績が出そろった。コロナ下の経済界のキーワードになっている「K字型」が鮮明になった。過去最大の減収や赤字が多発する一方で、2ケタの増収増益を達成する企業もある。成長する企業と落ち込む企業が、Kの字のように引き裂かれている。(この記事はWWDJAPAN2021年5月31日号からの抜粋です)
【専門店】
ニューノーマルで郊外型の
低価格カジュアルに追い風
専門店は商品、価格帯、立地などでK字型に二分された。
上向きなのは、郊外の立地で低価格のカジュアルウエアを販売するファーストリテイリング(「ユニクロ」「ジーユー」)、しまむら、西松屋チェーン、ワークマンである。特にしまむら、西松屋チェーン、ワークマンの3社はコロナ禍の新常態を味方につけて大幅増益を達成した。外出自粛や在宅勤務の定着によって、消費者の行動範囲が自宅周辺に狭まり、将来不安もあって支出を抑えるようになった。郊外のロードサイド沿いの独立店舗が主力の3社は、昨年春の緊急事態宣言によってショッピングセンター(SC)が1〜2カ月休業した間も多くは営業を継続していた。20年9月〜21年2月期決算のファストリは都心にも店舗が多いが、郊外はもともと強く、この期間には中国市場が回復したことも幸いした。
一方、SCを主戦場にするアダストリア、パルグループホールディングス、バロックジャパンリミテッドの3社は営業黒字こそ維持したものの、大幅な減益になった。青山商事とAOKIホールディングスはコロナ前からのビジネススーツ離れに、在宅勤務の定着によって拍車がかかり営業赤字を計上した。
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