専門店チェーン、セレクトショップの2021年5月度売上高(既存店ベース)は、コロナ禍で昨年は多くの店舗が休業していた反動で、3割前後の増収となったという声も多かった。一方で、ユニクロ、「無印良品」という“コロナの勝ち組”企業にややブレーキがかかっている。ユニクロは20年5月以来12カ月ぶりに、「無印良品」は同年11月以来6カ月ぶりに前年割れとなった。
ユニクロは前年同月比0.6%減、一昨年同月比では18.6%減。緊急事態宣言による客足減の影響は大きかったが、臨時休業店舗数は昨年5月が最大311だったのに対し、今年は最大で190。それにも関わらず、昨年の実績に届かなかった。「ニュース性のある商品が不足していたことに加え、発信も足りていなかったことが要因」と見る。
「無印良品」は前年同月比8.6%減。「店頭売り上げは堅調」だったものの、昨年は巣ごもり需要にあててECで家具の10%オフキャンペーンを行なっていたため、その反動でECが苦戦した。家具を含む生活雑貨の売り上げは同17.0%減。衣服・雑貨は値下げを行った機能性インナーやTシャツなどが売れて同0.2%減、食品は同18.4%増だった。なお、昨年30日以上休業した店舗を除いたうえでの既存店売り上げの一昨年同月比は、3.0%増だった。
一方で、「ファッションセンターしまむら」(4月21日〜5月20日)は前年同月比31.2%増と大幅に伸ばした。コロナ禍前はやや苦戦していたこともあって、一昨年同月比でも0.1%増とコロナ禍前の水準を確保。「今年は梅雨入りが早く、気温が低かったものの、初夏物、夏物は堅調だった」。
アダストリアは前年同月比28.5%増、一昨年同月比では28.5%減。夏用のパンツや半袖トップス、アウトドアシーンにも適したサンダルやレイングッズなどが売れた。月後半にかけて「一部店舗では徐々に客足が回復していた」といい、6月以降も同様の流れは続くと見る。
ユナイテッドアローズの前年同月比は27.5%増、一昨年同月比は34.4%減。昨年の休業の反動で、「店頭売り上げは大きく前年を上回ったが、ECは昨年は既にセールを行っていたことから前年を下回った」。