絶好調のゲーム業界からファッション界への進出を目指すのが、ゲーム機器の輸入販売や企画開発を行うMSYだ。同社はゲーム用の椅子の開発からスタートし、現在はゲーム用ヘッドホン「レーザー(RAZER)」などゲームを起点に多角的な事業を行う。ゲーマーを含む“クリエイターの問題を解決したい”という思いのもと、スニーカーセレクトショップ「アトモス ピンク(ATMOS PINK)」や雑誌「ナイロン ジャパン(NYLON JAPAN)」とのイベントのほか、「チャンピオン(CHAMPION)」とはeスポーツ選手専用のユニホームとジャージーを製作するなど、さまざまなビジネスに取り組んできた。2003年の設立以来業績は右肩上がりで、“eスポーツ”という言葉が浸透し始めた4年前に比べると年間売上高は200%以上。秋にはゲームプレーヤーの課題を解決するデザインを取り入れた本気のアパレルラインを立ち上げる。
MSYを率いる秋山昌也社長は、数々の新規事業に対し「絶対に売れない」という周囲の声を結果で跳ね返してきた。「当時は、リビングスペースを制す者がゲーム業界を制すといわれていた。なぜなら、市場にはゲーム本体とカセット、テレビとコントローラーをつなぐケーブルなどのゲーム機器しかなく、リビングで全てが完結するから。そこでユーザーの遊びの幅を広げるために、ゲーム用の椅子“武者震”を2003年に開発した。価格は2万4800円。でも家電量販店との商談では『売れない』と断られ続けた。だったら海外と考え、アメリカに持って行った。するとアメリカの展示会で賞を獲得し、それから2年間で2万台を売り上げた」と秋山社長。新しい時流を敏感に察知し、持ち前の行動力でビジネスに発展させる手腕は、MSYを成長させてきた原動力だ。当時は画期的だったゲーミングチェアも、今では世界で数百億円の市場といわれている。
「一過性のブームで終わらせたくない」
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