ユニクロは6月4日、東京・浅草に大型店「ユニクロ浅草」をオープンする。ユニクロは近年、チェーンストアであっても立地によって店の表情が異なる“個店経営”の追求を掲げており、昨年オープンした横浜、原宿、銀座の戦略店舗に続いて、浅草でも街の個性を取り入れた店作りを進めている。日本屈指の観光地の一つであり、江戸の文化やモノ作りが息づく街、浅草でユニクロが見せるものとは?同店の見所をレポートする。
店は浅草寺からもすぐ。寄席などが行われる浅草演芸ホールのはす向かいで、売り場面積は2層(1、2階)で約1980平方メートル。これまで浅草地区には松屋浅草や浅草ROXに店舗があったが、それらは今春で閉鎖して「ユニクロ 浅草」に集約した。
正面入り口には多数ののぼりが立ち、店に入れば「ユニクロ」ロゴの大きな四角い提灯が視界に飛び込んでくる。1.8メートル四方の提灯は、浅草の手描き提灯メーカー、大嶋屋恩田によるものだという。1階はウィメンズで、2階がメンズとキッズの売り場。1階には今回で7店舗目の導入だという生花販売のコーナーも設けた。店内は、千社札のデザインを取り入れたポップや、パッと目をひく“粋”な色柄が主張するVMDがポイントだ。
入り口の提灯のほかにも、地域とコラボレーションしたさまざまな仕掛けがある。例えば1階には、同じビルに入居する全国各地の日本酒を扱うショップ、「まるごとにっぽん」と協業した、日本酒の銘柄をプリントしたTシャツ17種(各1990円)を陳列。2階の「UT」のコーナーでは、浅草の老舗飲食店の協会である「浅草うまいもの会」や、お菓子の「雷おこし」で有名な「浅草 常盤堂」、浅草にゆかりのあるアーティストESOWなどのスタンプをカスタマイズして、「UTme!」のオリジナルTシャツを作成することもできる。
2階の「UT」コーナーの向かいには、浅草が拠点のアーティストやデザイナー、ショップを紹介するブースを設置。江戸時代の遊郭である吉原をモチーフにした土産物などを扱う西浅草の「岡野弥生商店」や、スケートボードショップの「ビート(BEAT)」、雪駄とスニーカーを融合させた履き物“unda(雲駄)”を企画するプロダクトデザインユニットごゑもん(GOYEMON)などのアイテムを編集して展示している。購入はできないが、展示してあるQRコードからそれぞれのホームページに飛ぶことが可能だ。浅草という場所ゆえ、海外観光客向けの「ユニクロ」かと思いがちだが、地元に住む人もここに来れば「浅草にはこんなクリエイターがいるのか」「こんな個店があるのか」といった発見がありそうだ。同コーナーでは、江戸文化などについての書籍も展示している(販売はなし)。
近隣の駅や店内に飾られたビジュアルには、本業のモデルだけでなく地域のクリエイターや飲食店の店主などが登場。また、浅草観光の移動手段としておなじみの人力車の時代屋と東京力車と組んだキャンペーンとして、車夫が「ユニクロ 浅草」とロゴの入った法被を着用している。
オープン記念のノベルティとして、4日に来店した先着2000人に「浅草 常盤堂」の「雷おこし」を、5000円以上購入した先着3000人に千社札柄のオリジナル湯呑みをプレゼントする。また、4日は「UT」の「呪術廻戦」コラボ商品の発売日でもある。