ハンドメイド品のECプラットフォームを運営する米エッツィ(ETSY)は、英フリマアプリ「ディポップ(DEPOP)」を16億2500万ドル(約1771億円)で買収した。同アプリはZ世代に人気で、アクティブユーザーの90%が26歳以下だ。
取引は2021年末までに完了する予定。「ディポップ」の経営陣に変更はなく、今後も独立したマーケットプレイスとして既存チームが運営する。
エッツィは05年にニューヨークで設立。個人のクリエイターによる手作りの衣服、アクセサリー、雑貨などを取り扱うECプラットフォームを主軸としている。19年7月には楽器専用のマーケットプレイス、リバーブ(REVERB)を2億7500万ドル(約299億円)で買収しており、「ディポップ」の取得後は3つのECプラットフォームを運営することとなる。
11年にロンドンで設立されたディポップは、主にビンテージアイテムやストリートウエアを取り扱う同名のフリマアプリを手掛けている。およそ150カ国において2600万以上のユーザーを抱え、20年の流通総額(GMV)は約6億5000万ドル(約708億円)、売上高は約7000万ドル(約76億円)で、それぞれ前年比で2倍以上の伸びだった。
エッツィのジョシュ・シルバーマン(Josh Silverman)最高経営責任者(CEO)は、「『ディポップ』はZ世代の消費者にとってのリセール拠点であり、今後もさらに発展すると確信している。当社のDNAやミッションとも合致しており、今回の買収によって大きな事業機会や成長シナジーがもたらされるだろう」と語った。
ディポップのマリア・ラガ(Maria Raga)CEOは、「『ディポップ』は次世代の若者がユニークなファッションを探索する場所であり、古い物から新しいトレンドを作り出す人々のコミュニティーとして買い物の仕方に変化を起こしている。当社よりも大きな企業のリソースを活用して、このコミュニティーをさらに成長させていきたい」と述べた。
近年、環境保護やサステナビリティに関心の高い消費者が若年層を中心に増加していることから、二次流通市場が急激に拡大している。21年3月には、ラグジュアリーブランドの古着やグッズを専門に扱うパリ発のリセールサイト「ヴェスティエール コレクティブ(Vestiaire Collective)」が1億7800万ユーロ(約236億円)の資金を調達。ラグジュアリーECのファーフェッチ(FARFETCH)も、今後は二次流通に本腰を入れることを20年12月に発表している。