これまでオーガニックコスメのメイクアップは、「発色が良くない」「粒子が細かくない」「長持ちしない」というように、肌には優しいが、デメリットが多いとに思われてきた。オーガニックコスメ先進国のドイツにおいても、オーガニックのスキンケアは豊富だが、メイクアップ専用のブランドはあまり耳にしない。多くのドイツ人女性はノーメイクもしくはアイメイクといったシンプルなメイクを好むことも、オーガニックでありながらハイパフォーマンスなメイクアップがなかなか誕生しなかった一因かもしれない。
そんな中で、発色の良さと耐久性を兼ね揃えた画期的なオーガニックコスメとして一目置かれているのが「ウント グレーテル(UND GRETEL)」だ。同ブランドはメイクアップアーティストのクリスティーナ・ロス(Christina Roth)とマーケティング専門家のステファニー・デットマン(Stephanie Dettmann)が2015年にベルリンで設立。現在、ベルリン有数のセレクトショップ「アンドレアス・ムルクディス(ANDREAS MURKUDIS)」やコスメチェーンの「ダグラス(DOUGLAS)」などで取り扱われている。
同ブランドは、BDIH認証(医薬品化粧品商工業企業連盟が2000年にドイツで発足したオーガニック化粧品認定のガイドライン)、もしくはヨーロッパの主要オーガニック認証機関による統一基準「コスモス認証(COSMOS-Standard)」を得た成分のみを使用。可能な限り有機栽培された植物由来の原料を選び、動物由来の原料は生きている動物からえられるもののみを用いる。そのほか、動物実験の禁止や化学合成の色素・香料・石油由来原料不使用などにこだわる。厳しい基準をクリアしながらも高い機能性を実現し、話題を集めている。
「ウント グレーテル」のもう一つの魅力は、製品を自由にミックスして使える点だ。例えば、ペンシル型のクリームカラー“LUK(ラック)”は “BRONZE01”を眉上に塗ると額に立体感を与える効果があり、新色の“PEARL03”はアイシャドウとミックスして使うと奥行きを作ることができる。他にも、リップグロスとアイシャドウを混ぜたり、自由自在に自分好みのカラーやテクスチャー、用途に合わせてミックスでき、その斬新さが幅広い年齢層から人気を得ている。筆者もオーガニックコスメを愛用しているが、「ウント グレーテル」はこれまでのオーガニックコスメの常識を覆す、次世代メイクアップといえる。