ファッション誌や広告ビジュアルなどで幅広く活躍するアーティストの嶌村吉祥丸。被写体としてのモデルを撮影する立場としての嶌村は、見た目に対する偏見として知られる「ルッキズム」という社会課題に対して経験を通してどのように考えているのだろうか。6月14日発売の「WWDJAPAN」を監修する、辻愛沙子アルカ最高経営責任者(CEO)と対談した。社会派クリエイティブを掲げる同氏と共に、ファッション&ビューティ業界だからこそ大切に考えたい、見た目や容姿にまつわる偏見や先入観について語り合う。
辻愛沙子(以下、辻):モデルや被写体が「痩せなければいけない」など、ルッキズム的な固定観念を抱えていると感じたことはありますか?
嶌村:撮影をする際に、モデルから「撮影に向けて痩せよう」などといった撮られる側の意識やモチベーションを感じることはあります。その日の体調次第では「ちょっと肌が荒れている」ことや、「転んでアザができてしまったからその部分は写してほしくない」といったこともあります。僕としては本人が嫌がることは避けつつも、場合によってはモデルの寝癖を生かすくらいの心意気で撮影しています。
辻:ルックブック撮影などの仕事現場では、クライアント、被写体、そして写真家と、それぞれが思う「美しさ」があり、ときには一致しないこともあるかと思います。そんな場合はどのように折り合いをつけていますか?
嶌村:ルックブックの場合は、服が美しく見えるように撮るという前提が基本的にあると思います。その前提があったとしても、服を纏っている被写体が蔑ろにされるのではなく、イメージを共に作り上げていくメンバーそれぞれが「美しさ」を探り、問い続けながらバランスをとっていくことが大事だと思います。誰かが一方的に美しさを押し付けるのは危うい行為でもあります。
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