ザ・ウールマーク・カンパニーは、若手デザイナーの登竜門「2021 インターナショナル・ウールマークプライズ(2021 INTERNATIONAL WOOLMARK PRIZE以下、IWP)」の受賞者を発表し、イギリスのマティ・ボヴァン(Matty Bovan)が大賞とイノベーション部門のカール・ラガーフェルド・アワードをダブル受賞した。ボヴァンには大賞の賞金20万豪ドル(約1500万円)と、カール・ラガーフェルド・アワードの賞金10万豪ドル(約750万円)が授与される。
ボヴァンはロンドンのセント・マーチン美術大学(Central Saint Martins)でニットウエアを学び、15年に卒業した後は「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のニコラ・ジェスキエール(Nicolas Ghesquiere)=ウィメンズ・アーティスティック・ディレクターの下で1年間経験を積んだ。その後自身の名を冠した「マティ ボヴァン」を立ち上げ、2018-19年秋冬シーズンにロンドン・コレクションで単独ショーデビューを果たした。服作り以外にもイラストレーターやモデル、メイクアップアーティストなどでもクリエイティブの才能を発揮する、異質のデザイナーだ。
ダブル受賞したコレクションは“海への頌歌(しょうか)”と名付けられ、トラウマになるほどの出来事から逃避する旅を描いている。拠点にするイギリス・ヨークのサプライヤーやメーカーと協力し、現地のビジネスやアーティストの支援に貢献している点も評価された。ボヴァンは「受賞によって私にどのような道が開けるのかが楽しみ。IWPに参加したことで、ビジネスやブランドとしての運営方法について知見を高めることができた。本当に素晴らしい体験だった」と喜びを語った。
審査員のカリーヌ・ロワトフェルド(Carine Roitfeld)は「ボヴァンは革新性と創造性の両方を兼ね備えており、両賞の受賞に値する能力を持っている。彼が作り出すのは“純粋なファッション”であり、私に夢を与えてくれた。若き日のヴィヴィアン・ウエストウッド(Vivienne Westwood)やジョン・ガリアーノ(John Galliano)を思い出した」とコメント。同じく審査員のトム・ブラウン(Thom Browne)も「ボヴァンは正真正銘のクリエイティブだ。全てが純粋な創造性から始まることを証明し、かつ表現している」と絶賛した。
また、今回のIWPから新設したウールマーク・サプライチェーン・アワードは、中国の南山グループが受賞した。