歌やダンスのみならず、ジェンダーやフェミニズムといった社会課題への言及にも注目が集まるアイドル、和田彩花。10代の頃から多くの人に「見られる環境」「らしさを求められる世界」を生き抜いてきた彼女は、ルッキズムに対してどのような考えを持っているのだろうか。6月14日発売の「WWDJAPAN」を監修する、辻愛沙子アルカ最高経営責任者(CEO)と対談した。クリエイティブの力で社会課題に対話を投げかける辻CEOと、ファッション&ビューティ業界だからこそ大切に考えたい、“美の基準”や社会課題にまつわる発信をすることについて語り合う。
辻愛沙子アルカCEO(以下、辻):アイドル活動を通じてルッキズムを感じたことはありますか?
和田彩花さん(以下、和田):ブログに「ブス」とコメントされたり、ネットの掲示板に書かれているのをメンバーが見てしまったりはありましたね。特に私がデビューした時のグループには「日本一スカートの短いアイドル」というキャッチコピーがついていたので、途中から加入する後輩たちは、「このグループにふさわしいか」を見た目だけでジャッジされてしまう空気があり、苦しかったのではないかと思います。「脚が長い」という打ち出し方をされることもありましたから、途中加入のメンバーも、脚が長いかを見られてしまいますよね。
辻:メンバー自身も、自分自身ではなく他者評価を軸に「私はここにいて大丈夫だろうか」と気にしてしまいそうです。
和田:「脚が長い方がいい」とか「細い方がいい」というのも、つくられた規範なんですよね。最近は価値観が多様になり、アイドルの世界にも「自分のありのままの姿でもいいんだよ」という空気感ができてきました。自分が納得する姿であれば、ダイエットする必要はないと思います。でも当時はその価値観が浸透していなくて、「ダイエットした方がいいよ」と言われるメンバーもいました。振り返れば、美しさの基準が一つしかありませんでしたね。
辻:美しさの規範がある中で、和田さんご自身が葛藤されたことはありましたか?
和田:前髪を伸ばすことには大きな葛藤がありました。ファンから「前髪を下ろした、かわいらしい姿の方が素敵」と言われたんです。悪気はなく良かれと思って言って下さっていることもわかりましたが、「前髪切らないの?」と何度も聞かれることはストレスになっていたと思います。それでも私は10代ながらにクールな女性像を目指したかったので、自分の意志を曲げずに伸ばし続けました。
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