「スケールメリット」の新定義
本日発売の「WWDJAPAN」は、辻愛沙子さんが監修。ご本人を筆頭に、辻さん率いるクリエイティブ集団アルカのスタッフ、取材相手、そして弊社の記者に至るまで多くのミレニアル&Z世代にご協力いただきました。
若い世代については、「風の時代」の代表格なんて言われます。今更私が言うまでもありませんが、「風の時代」は、所有より共有。物質より知識・体験。肩書きより人脈。そして、組織より個人です。こう記すと彼らにとって、組織に属することや組織の大小は関係なさそうですが、取材中に彼らがたびたび「大きな組織の方が、大きな声が届くから」と言っていたのは印象的でした。大きな組織が社会に向かって声をあげると、より大勢に届き、結果、社会に大きなインパクトを与えるから、社会そのものが変わる可能性が高いという意味です。自分は大きな組織に属していなくても、彼らは一様に「大きな組織の方が、大きな声が届く」と話します。その存在を否定することもありません。
あんまりなんども聞くから、もしかすると彼らにとっての「スケールメリット」とは、団結することによる大きな声、インパクトの強いアクション、そして大きな成果という意味なのだろうか?そんなことを考えました。
一方、私たち(世代?なのでしょうか?)の「スケールメリット」ってなんですか?「大量に発注すると安い」とか「いくつものブランドがあると交渉が有利」などが真っ先に思い浮かんでしまいます。仮に若い世代のスケールメリットが「大きな声」「インパクトの強いアクション」「大きな成果」だとしたら、彼らのスケールメリットは利他的で社会的。一方、私が「スケールメリット」と聞いて思い浮かべてしまう「大量発注すると安い」とか「ブランドを束ねていると交渉が有利」は、随分利己的でご都合主義です。「スケールメリット」という言葉の意味の変化も、「風の時代」の象徴かもしれませんね。
新たな「スケールメリット」を意識すると、考え方も変わりそうです。真っ先に想像できたのが、大企業=プラットフォーマーという考え方でした。国内では、ワールドがいち早く宣言していますね。自分たちはもちろん、他社や他ブランド、願わくば新興企業や新進ブランドの育成を支援しながら、大きなコミュニティーを作って、社会を変えていく。自分たちのスケールメリットではなく、自分たちを含むスケールメリットという考え方でもあるのでしょうか?総合商社や国内の大手アパレルは、そんな歩みを進めています。
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