ヴァレンティノ(VALENTINO)の2020年12月通期決算は、売上高が前期比27.7%減の8億8200万ユーロ(約1164億円)、EBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)は同51.0%減の1億4600万ユーロ(約192億円)、純損益は前年の3300万ユーロ(約43億円)の黒字から1億2700万ユーロ(約167億円)の赤字となった。
中国本土の売り上げが同44%増、ECは同62%増と好調な地域や部門があったものの、コロナ禍による店舗の休業措置や観光客の不在などが響き、上期のEBITDAは前年同期比75%減と大きな打撃を受けた。下期にやや持ち直したが、全体の売り上げ減をカバーするには至らなかった。なお、ECの売り上げは全体の14%を占めている。
同社は、「こうした危機的な状況の中では、クリエイティビティ、人的資本、そして個別の顧客体験がいっそう重要となる。これを踏まえて新たな戦略の第一ステップを実施した結果、20年10〜12月期(第4四半期)から21年1〜3月期(第1四半期)にかけてポジティブな兆候が見え始めている」とコメントした。
「ヴァレンティノ」は今年5月に、22年以降はリアルファーの使用を廃止することを発表した。ファーを含むコレクションは21-22年秋冬シーズンが最後となる。これに伴い、同社が18年から所有するファー専門の工場ヴァレンティノ ポーラー(VALENTINO POLAR)は、21年末に生産を終了する。またメインブランドの「ヴァレンティノ」に注力するため、より若者向けのブランドである「レッド ヴァレンティノ(RED VALENTINO)」は23-24年秋冬コレクションを最後に終了する。
現在、「ヴァレンティノ」は中国本土に28店、韓国に15店を構えており、21年にはそれぞれ2店と6店を新規オープンする予定。なお、日本には直営店を31店構えている。