ファッション

“にこるんのブランド”じゃ終わらせない  藤田ニコルが「カルナムール」で届けるホンキ服

 藤田ニコルがディレクションするウィメンズアパレルブランド「カルナムール(CALNAMUR)」が2021年秋冬シーズンからスタートした。ブランドはニコロン(平藤真治社長)が保持し、マークスタイラー(秋山正則社長)が独占販売する。

 藤田がディレクターを務めるブランドとしては、「ニコロン(NICORON)」(18年〜21年)に続いて2つ目。ストリートカジュアルな「ニコロン」と比べて、ほどよくトレンド感を取り入れたフェミニンなテイストを打ち出す。ブランド名は自身の誕生日花である「カルミア」になぞらえた。

 カルミアには2つの花言葉がある。一つは“優美な女性”。23歳の藤田は「年齢を重ねるにつれて、「ニコロン」の展開するアイテムとギャップを感じるようになっていた。1枚でもさまになったり、着回しのしやすさだったり、大人の女性が本当に欲しいと思える服を作りたい」と話す。

 そして藤田が「私にぴったり」と言うもう一つの花言葉が、“野心家”だ。「“にこるん”を応援してくれるファンだけで満足せず、もっとたくさんの女性に愛されるブランドにしたい」と語る彼女。「カルナムール」のファーストコレクションを披露した展示会で、今後の展望を聞いた。

WWD:自身にとって2つ目のブランド。「ニコロン」との違いは?

藤田ニコル(以下、藤田):「ニコロン」はとにかく10代の自分が好きなものを作っていましたし、もちろん今もその思いに変わりはないです。ただ価格もデザインも、今の20代の人にとっての「リアル」に寄り添う服作りを心がけました。まずこだわったのは、一着でたくさん着回しができること。カタログの撮影でも、いろんな着回しができすぎて困っちゃったくらい(笑)。「カルナムール」の服を全部買ってもらえれば、しばらくは飽きずにずっと過ごしてもらえる!っていう自信があります。でも今はトレンドに合わせて新しい服をたくさん買うという時代でもないので、自分のクローゼットと照らし合わせていいものをチョイスしてほしいです。

 その他にも、羽織るだけでかわいかったりとか、チクチクしないストレスフリーな着心地だったりとか。肌見せする服だったら、下着がギリギリ見えないよう設計しているし、そういう細かい気配りも感じてほしいですね。

WWD:ヤングカジュアルの「ニコロン」と比べて、テーマやターゲットは変わった?

藤田:「カルナムール」では、シーズンテーマは明確に設けていないんです。ターゲットを年齢で決めるのも、なんだか今っぽくないと思うし。難しく考えずに、デザインにキュンとしたら買ってほしいな。私より年上の人が着てもいいと思うし、スウェット類などはユニセックスで作っているので、メンズも手に取ってほしいですね。

個性を決めなくたっていい
着たい服を着るのが“今っぽい”

WWD:着たい服を着ることが、“今っぽい”と。

藤田:ちょっと前までは、皆それぞれ他の人にはない個性を求めて、それを服だったり、メイクだったりで表現する、そんな雰囲気が世の中にあったように思います。それが「ニコロン」の服作りにも反映されていましたね。それで自分自身にプレッシャーをかけていた部分もあったし、今は少し年齢も重ねて、「無理して個性を求めなくてもいいんじゃないか」って思うようになりました。

 今日はセクシーな感じがいいけれど、明日はかっこいい感じで過ごしたいかもしれないですしね。「カルナムール」も秋はこんな感じですけれど、冬はガラッと変わるかもしれません。

WWD:「ニコロン」時代は渋谷109や新宿ルミネなどに店舗を構えていました。

藤田:「カルナムール」では店を持つことは考えていません。今はコロナでオンラインの方が安心して買えたりもするし、SNSやユーチューブを駆使して、実物を見なくても安心して買えるような魅力の伝え方を考えていきたいです。例えばインスタグラムは質問しやすい場所なので、みんなの気になる新商品をさっとアップする。ティックトックは手作り感があってもいいから、楽しげな感じで着回し紹介をする。ツイッターは確かな情報を発信する場所かな。最近はYoutubeでルックブックをスライドショーに見せるのが流行ってますし、自分のブランドでも着回し紹介はやってみようと。私は自分で撮影も、編集もするので、納得いく形で発信したいんです。

ファンはブランドの伝道師
“チームワーク”が大事

WWD:この展示会で流しているブランドムービーも、藤田さんが作ったそうですね。

藤田:そうなんです!今後は洋服そのものだけでなく、打ち合わせ風景とか、服作りのプロセスも動画で見せていきたいですね。これまでの芸能活動でも、ファンの子のつながりがあってこそここまでやって来れたので、余計にそう思うのが、「熱量が伝わるから共感してもらえる」ということ。「カルナムール」の服を手に取った子が、周りにも「これ可愛いよ」って伝えてくれたらうれしいです。

WWD:ファンがブランドの伝道師になってくれるんですね。

藤田:ブランド運営も、ファンの皆とのチームワークだと思っています。最終的には「芸能人の藤田ニコルがやっているブランド」じゃなくて、私の名前と関係なく売れるブランドにしたい。本当にファッションが好きな人が「カルナムール」を買った後に「これ、にこるんが作った服だったんだ!?」って気付いてもらえたら、してやったりって感じです(笑)。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

リーダーたちに聞く「最強のファッション ✕ DX」

「WWDJAPAN」11月18日号の特集は、毎年恒例の「DX特集」です。今回はDXの先進企業&キーパーソンたちに「リテール」「サプライチェーン」「AI」そして「中国」の4つのテーマで迫ります。「シーイン」「TEMU」などメガ越境EC企業の台頭する一方、1992年には世界一だった日本企業の競争力は直近では38位にまで後退。その理由は生産性の低さです。DXは多くの日本企業の経営者にとって待ったなしの課…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。