スニーカーにまつわる噂話のあれやこれやを本明社長に聞く連載。政府の不甲斐なさからか、緊急事態宣言は若者には全く届いてないようで、週末にもなれば原宿は人で溢れ返っている。デジタル化が進んでもやっぱり若者はリアル店舗で買い物したいのだ。毎日のように発売されるスニーカーを目掛けて、アトモスの前にも以前のような行列が戻り始めた。今回は、デジタル時代におけるフィジカルの大切さについて。(この記事はWWDジャパン2021年6月14日号からの抜粋です)
WWD:「ナイキ(NIKE)」は毎日のように発売が続きますね。「ナイキ」の次に来るブランドってなんでしょう?
本明秀文社長(以下、本明):「ナイキ」も「アディダス(ADIDAS)」も「アシックス(ASICS)」もどこも同じジャンルや層を狙っているからね。でも「アグ(UGG)」や「ホカオネオネ(HOKA ONE ONE以下、ホカ)」って、そことは全然違うんだ。両方、デッカーズが所有するブランドなんだけど、「ホカ」はトレイルシューズだから分厚いソールが特徴で、そこにファッションが付いてくれば見え方が変わってくる。「アグ」も「ホカ」のソールの技術を踏襲しているし、ファッション性の高いアッパーを開発できればチャンスはある。
WWD:でも開発には時間がかかりませんか?
本明:「テバ」もデッカーズのブランドなんだけど、アウトドアブームだから調子がいい。「アグ」も「ホカ」も調子が良くて、デッカーズの売上高は昨対の約3倍。だから開発の余裕があるし、余裕があればチャレンジができる。一方で、「アシックス」は東京オリパラのスポンサーだから株価はいいんだけど、オリパラもこんな感じだし、余裕はないと思う。「プーマ(PUMA)」も新作が出てこないし、「アディダス」も作り過ぎて在庫が溢れ返っている。やっぱり狭く深くターゲットに刺さると強い。“カテゴリーキラー”になるべきだよ。
WWD:ただ、ある程度の規模に売り上げを持っていこうとすると、カテゴリーを広げなければいけませんよね?アトモスではどう考えていますか?
本明:売れるものを見極める力がないと難しい。売れるものを10足じゃなくて1000足仕入れないと。あと商売のポイントは、“売れる人”と仕事をすることだね。例えば僕たちはスニーカーに特化しているから、売れているウエアに特化したブランドと組めば、スニーカーもウエアも当然売れるんだけど、売り上げでいうと1+1が3になる。だけど、どちらかが売れていないと、2以上にはならないからね。だから売り上げやイメージが大事になってくるんだけど。
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