ブランドの白T、想像できますか?
歌舞伎町でホストとタッグを組んだ「黒T専門店」だったり、(刺さるのは私たち世代だけかもしれませんが)2021年に吉田栄作とコラボしたり、白いTシャツ専門店「#FFFFFFT(シロティ)」の夏目拓也・主宰は、アイデアマンです。
そんな夏目さんに初めてお会いしたのは、今年の春先。相変わらず小学生みたいな質問を投げかける私は、「季節によって、売れる白Tは変わるんですか?」とか「迷いに迷った挙句、『選べない!』って帰っちゃう人はいないんですか?」などなどイロイロ聞いてしまいましたが、夏目さん、答える答える(笑)。「この人のTシャツ愛はホンモノだ!」と感銘を受けた次第です。
とはいえ、夏目さんが「#FFFFFFT」をオープンし、白いTシャツしかない店舗で「どんな商品をお探しですか?」なんて接客ができるのは、同じ白Tシャツでも、全く同じものは存在しないからでしょう。ワタクシも、かつては「パックTと言えば、『ブルックス ブラザーズ』か『プラダ』」でした。「ブルックス ブラザーズ」は、アメリカンブランドらしくちょっと大きめでレイヤードにちょうど良い。「プラダ」は、パックTなのに背中に“あの逆三角形”が縫い付けられており優越感に浸れます。白Tからさらに絞り込んで、白のパックTでも違いはあるのです。
そこで、皆さんに質問です!アナタのブランドの白Tを作るとしたら、それは、どんな白Tですか?勝手に「フーフー」の立場で想像しましょう。マールくんは、ちょっと地厚な洗いざらし風の素材を使い、パフスリーブにしたり背中にタックを寄せたりしてクルクル回ったら楽しそうな白Tを作るでしょうか?「ジミー チュウ」だったら、星型のスタッズがワンポイント。一部をシースルーのメッシュに切り替えたり、深いスリットを刻んで異素材で切り返すかな(笑)?こんな風に、すぐにアイデアが浮かばないブランドは、「ヤバい」と思うんです。だってそれって、ブランドのアイデンティティが存在しないか、アイデンティティが言語化・具体化できていないか、ってコトでしょう?
売れそうな白いTシャツ、じゃないんです。アナタのブランドの白いTシャツ、を想像して欲しいんです。白Tでブランドを表現するのは、最低限の言葉でブランドを表現することに似ている気がします。で、もし想像できなかったら、それは今すぐ向き合ったほうが良いのかもしれない。そんな風に妄想した週末でした。もしかしたら夏目さんは、白Tを通じて、そんなコトを見据えているのかもしれません。
ちなみに「WWDJAPAN」が白いTシャツを作るとしたら、それは、皆さんのブランドの白いTシャツの生地を拝借したパッチワークです(笑)。
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