石川涼が手掛けるスニーカーヘッズのためのブランド「ザ・ネットワークビジネス(THE.NETWORK BUSINESS)」は、スニーカーフリマアプリの「スニーカーダンク(SNKR DUNK以下、スニダン)」とコラボし、原宿のプロペラ通りにある「#FR2ギャラリー」でポップアップイベントを20日まで開催中だ。店内にハイプスニーカー(2次流通でプレ値で取引される)と「ザ・ネットワークビジネス」のアイテムを並べ、Tシャツを購入するとスクラッチカードをプレゼントする。客はそれに当選すると、“エアジョーダン(AIR JORDAN)”や“ダンク(DUNK)”といったハイプスニーカーを定価で購入できる。3週間の会期中には、レゲエアーティストのレッドスパイダージュニア(Redspider Junior)やスニーカーユーチューバーのSOSHI、スニーカー芸人のアントニーや上田歩らが1日店長として登場。イベントは見事に当たって、毎週末行列を作るほどの熱狂ぶりだ。そして何より、一次流通と二次流通が正式にコラボするのも珍しい。石川社長と「スニダン」の内山雄太社長に聞いた。
みんながやらないことをやるから勝つ。単純に、それだけ
WWD:一次流通と二次流通がなぜコラボするのか?
石川涼せーの社長(以下、石川):世の中D2Cが流行っていて実店舗を持たないブランドが増えてきた。「スニダン」もD2Cで店舗がないから、「一度フィジカルなイベントをやってお客さんの反応を見ましょう」と提案させてもらった。僕は今の二次流通の熱狂ぶりを見ていて、二次流通もカルチャーだと思っている。これだけ盛り上がっているんだから、イベントをやれば絶対成功させる自信があった。
WWD:同様のサービスのスニーカーフリマアプリだと「モノカブ」や「ストックX」などもある。競合とどう差別化を図る?
内山雄太ソーダ社長(以下、内山):僕ら二次流通は一次流通があってこそのサービス。一次流通の人たちと一緒に何かできれば大きなメリットになるとは思ってはいたけど、それが石川さんの手掛けている「ザ・ネットワークビジネス」というのは、個人的にもうれしかった。原宿はスニーカーカルチャーの発信地でもあるし、ここで盛り上がっていくのが一番面白い。こういうイベントを開くことで、「スニダン」を知っている人にはより濃いファンになって欲しいし、新しいファンも獲得したい。
WWD:「スニダン」は普段在庫を持たない商売だが、今回のような在庫を持つリスクに関してはどう考える?
内山:店頭のスニーカーは、普段「スニダン」に出品されているもので、それを自分たちがリセール価格で買って並べている。当然、(抽選定価販売するので)売れば売るほど赤字になっていくけど、それ以上に店頭に来てくれるお客さまがいたり、リアルに顔を見て販売できたり、僕らにとってはプラスの方が大きい。
石川:100%プラスだと思う。結局フィジカルなイベントをみんなやらないから、やっているところが勝つ。単純に、それだけ。効率の部分だけで言ったら、リアルイベントをやるより通常営業していた方がもちろん効率はいいんだろうけど、みんながやらないからこそ、リアルイベントをやる価値がある。結果的にこれだけお客さんが来た。みんな写真を撮っているし、みんなの記憶にも残る。そうすると他のサービスとは絶対差がついていく。差をつけられると、あとはクーポンを配りまくるしかない。それって僕は、本当に意味が無いと思っている。
WWD:安さ勝負になる、と。
石川:そう。まさに金の切れ目が縁の切れ目みたいになっちゃうわけ。そうじゃなくて、ちゃんと(レッドスパイダー)ジュニアさんみたいな面白い人たちをゲストに呼んでみんなの印象に残して、ブランドの価値を高めていくことが大切。
WWD:イベントの今後の予定は?
内山:7月中旬には大阪でも同様のイベントを考えている。オンラインだけではなく、リアルなイベントも仕掛けながら「スニダン」を盛り上げていきたい。