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「電力と水」特集取材を終えて始めた趣味はコンポストでした エディターズレター(2021年6月23日配信分)

※この記事は2021年06月23日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「電力と水」特集取材を終えて始めた趣味はコンポストでした

 「WWDJAPAN」6月21日号でサステナビリティ、中でも電力と水にフォーカスした特集を作りました。「電力と水」。渋いテーマ!我ながらそう思います。読者に興味を持ってもらえないのでは?と不安を残しつつも制作を進めると「やはり今、これ」の確信を深めました。取材がとても楽しかったです。これまで服のデザインや店頭、消費者動向などを長く取材してきましたが、その背景にある電力や水のことは気にも留めていなかったというのが正直なところ。そんなエネルギー取材ビギナーに対して先駆者の皆さんは親切に教えてくれました。

 その一人が、今書店の売り上げランキングで上位にランクインしている話題の新書「超入門カーボンニュートラル」(講談社+α新書)の著者、夫馬賢治ニューラルCEOです。脱炭素経営を目指す企業のコンサルティングを数多く行っている夫馬さんですが、自身はゴミ拾いといった環境保存活動は特にしておらず「関心があるのはサステナビリティと経済を両立させること」とキッパリ。この言葉に実は救われました。自分も同じような考えを持っているからです。

 サステナビリティ・ディレクター(私)は色々な矛盾にぶつかります。そもそも自分自身はどれだけ環境問題に取り組んでいるの?というのが第1の矛盾であり、よく聞かれる質問です。ゴミの捨て方を徹底しているの?や、そもそも新品の服を買うの?といった質問ですね(答えは共に全力でイエス、です)。展示会に行くと知り合いが私を見つけるなりハッとした表情で「ウチ、サステナあまり取り組めていないんです」と申し訳なさそうな顔をするから、こちらが申し訳ない気持ちになります。「偉そうに裁く立場じゃないんだけどな」と思う中、夫馬さんの言葉に救われたのです。

 「夫馬さんは何のために頑張っているのですか」という問いへは「生産現場が危機的状況になってゆくことが単純に嫌なんです」と返ってきました。「サステナビリティに関する情報の遅れにより日本のモノづくりがつぶれていくのを座して見ているのは自分は耐えられない」とも。激しく同意です。自分はまだその域じゃないけど、私が仕事でサステナビリティを扱うのも「地球のため」というよりも「ファッションやビューティを生業にしている人たちのため」です。二者択一ではなく両方、ですね。「地球のため」は大前提。同じくらい、自分が好きなこの業界とそこで働く人たちの生活もまた豊かであってほしい。だから「環境に配慮したビジネスが、結果的に私たちを豊かにする」仕組みを皆さんと作れたいいな、と思っています。

 そんな夫馬さんへのインタビュー全文はこちらからぜひ。有料記事なのでひと手間いただきますがその価値あり、と自負しております。そして挑発気味の発言の真意も読むと納得していただけるかと。よろしければ率直な感想もお聞かせください。

> 話題本「超入門カーボンニュートラル」の著者に聞く  “畑の現状を見たらわかる。このままではアパレルは服が作れなくなる”

 夫馬さんのインタビューにもありますが、特集取材を通じて「ファッションは農業だな」とすっかり感化された結果、先月からコンポストを始めました。我ながらミーハーです(笑)。そして玉ねぎの皮が全然分解されないことに感動し「植物も動物も殻ってすごーい。人間のお肌も大事よね」とスキンケアに関心が高まっております。その意味は説明すると長くなるので割愛しますが、お子さんの夏休みの自由研究課題を探している方にはぜひこの「コンポスト」をオススメします。ステイホームの楽しみも増えますよ!

 エネルギーや資源は脱炭素経営時代の製造業や小売りと切っても切れない関係にあります。しかも経営者だけではなく企画担当やバイヤーといった現場の人たちも知っておいた方がいい。だってその方がモノづくりの発想が広がるし、よりよい価値を提供できるから!そんな思いで特集を作りました。ぜひお手に取ってご覧ください。

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