ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS、以下UA)は、9月から自社ECをメインに販売するメンズ、ウィメンズの新ブランド「シテン(CITEN)」の商品を、同社の2021-22年秋冬展示会で披露した。ECを主販路とするブランドは同社として初めて。「カルチャーや生活まわりのモノやコトなど、ファッション以外にも興味がある感度の高い男女」(神永和洋GLR本部新規事業準備室室長)をターゲットとし、同社として課題となっている20〜30代前半客の取り込みを狙う。
年齢軸では同社で手薄な若年層を狙うと同時に、価格軸でも同社で手薄となっている比較的買いやすいゾーンを狙う。グループの「コーエン(COEN)」を除いて同社の中では裾値の業態である「ユナイテッドアローズ グリーンレーベル リラクシング(UNITED ARROWS GREEN LABEL RELAXING以下、GLR)」の価格に対し、7割前後の価格設定とした。
新ブランド立ち上げに向け、新規事業準備室を発足したのは20年4月。「今の消費者のライフスタイルに沿うためには何がベストかを考えた結果、EC主体で立ち上げることになった。そうした考え方はコロナ禍でさらに加速した」と神永室長。コンセプトは“FUTURE ESSENTIALS”。秋川由梨子ブランドディレクターは「今の時期に誕生する新しいブランドに必要なものをゼロから考えた結果、変化するライフスタイルに合わせたセンスの良い日常着だと考えた」と話す。
商品構成はウィメンズ65%、メンズ35%で、メンズアイテムの10%をユニセックスで展開する。メンズはヴィンテージアイテムを現代的に解釈したジャケット(税込1万5990円)やパンツ(同6990円)などをそろえ、ウィメンズはワンピース(同8990円)やスエットトップ(同6990円)などのほか、シューズ3型も販売する。
メンズとウィメンズのデニムアドバイザーは「ベルベルジン(BERBERJIN)」の藤原裕ディレクターが務める。ユニセックスで展開するデニムジャケット(同1万9900円)は、古着を通っていない世代に向けて着やすさを重視した。デニムアイテムはオーガニックコットンを使用した。そのほかデビューシーズンでは、リサイクルポリエステル90%とニュージーランドウール10%の素材を用いたアイテムをウィメンズで4型、メンズで1型製作した。秋川ディレクターは「全てをサステナブルに変えていくのは難しいが、まずはできるところから取り入れていきたい」と話す。
手に取りやすい価格の日常着というカテゴリーには、「ユニクロ(UNIQLO)」や「無印良品」など強力な競合も多い。「その中でユナイテッドアローズがブランドを立ち上げる意味を考えた。着るだけで気分が上がるアイテムや、愛着を持って着られる高揚感のある商品を手に取りやすい価格帯で提案するのがわれわれの強みだと思う」と秋川ディレクター。そうした考えから、トレンチコートなどの定番アイテムであっても丈やシルエットなどを検討し、全てオリジナルでパターンを引いたという。
自社ECのほか、「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」「楽天ファッション(Rakuten Fashion)」でも順次販売する。9月以降、都内のカフェや「GLR」一部店舗でのポップアップも予定する。
売り上げ目標は非公開だが、「主力業態まで成長させていきたい」と神永室長は力を込める。今後、単独で実店舗を出店するかどうかについては未定という。