10代の女子を中心に人気を集める佐藤ノアは、モデルやアーティストとして活動しながら「ウィゴー(WEGO)」のアクセサリーブランド「メルシーナ(MEL CINNA)」のプロデュースを手掛けている。2020年10月に始動した同ブランドは、新作を発売するとわずか1分で完売する商品も多く、人気商品は再販の問い合わせが後を立たないという。佐藤はこれまで、ブランドを純粋に好きになってほしいという思いから自身の名前を伏せて、同ブランドのプロデュースを行ってきたが、7月に伊勢丹新宿本店での初のポップアップ開催を控え、公表することを決めた。改めて、ブランドにかける思いを聞いた。
WWD:モデルやユーチューバー、アーティストなど、さまざまな分野で活動しているが、現在の肩書きは?
佐藤ノア(以下、佐藤):自分でもよく分からないんです。そもそも北海道でバンド活動をしていた延長でガールズバンドに誘われ、上京しました。経験していないこと全てに挑戦していたら、モデルや芸能の仕事も増え、いつの間にかに今の形になっていました。最近では芸能人と呼ばれることもありますが、自覚は全然ないです。でも、どの仕事も私が選んだものなので、肩書きは見ている人が勝手に決めてくれたらいい。
WWD:フォロワーが増え始めたきっかけは?
佐藤:何かがバズった訳ではなく、じわじわ増えていきました。フォロワーの8割程度は10〜20代の女の子。「#FR2」でモデルをしてからスニーカーヘッズの男の子たちも知ってくれました。アベマ(Abema)TVの「オオカミくんには騙されない」に出演して以降、主婦のファンも増えました。
WWD:「メルシーナ」では、今までなぜ名前を伏せていた?
佐藤:「メルシーナ」は、制作チームのメンバーや工場の方々と一緒に作り上げるものなので、私の理想や夢が果たしてどの程度実現できるのかが最初は想像できませんでした。時間をかけて「佐藤ノア」という人物像を作り上げてきた分、名前を出すべきか悩んでいたんです。「佐藤ノア」で活動する時は、周りのニーズも意識していますが、「メルシーナ」は私が好きなものだけを詰め込みたかった。私が好きなものをみんなが好きになってくれるのかという不安もありました。でもファンだけには、「フィナンシェ」というクローズドのオンラインコミュニティーで公表していました。
WWD:公表したのは、実際の売れ行きが自信になったから?
佐藤:そうですね。私が好きなものは「やっぱりみんな好きなんじゃん」って(笑)。チームのメンバーと信頼関係が築けたことも大きかったです。「メルシーナ」では私の好きなものしか出したくないので、一つ一つかなり時間をかけて作っています。サンプルを5、6回作り直してもらったものもあります。みんな私のこだわりに最後まで付き合ってくれると分かり、名前を公表することを決めました。
WWD:コンセプトの「自身愛」とは?
佐藤:武装です。「メルシーナ」のアクセサリーは女の子にとってお守りでもあるし、攻撃でもある。女の子って面倒くさい努力をすることで、自分を愛せる生き物だと思うんです。アクセサリーはなくても生きていけるますが、「メルシーナ」を付けることで、自分を愛せたり、特別だと思えたりするようなアイテムを提案したい。
WWD:デザインの着想源は?
佐藤:街の景色や友達が発した言葉、音符など、形のないものをアクセサリーにしたらどうなるんだろうと考えています。それからアイテム一つ一つにストーリーを考え、「こんな女の子に、こんな気分になってほしい」というメッセージを込めて作り上げます。あくまで私が好きなこと10割なんですが、カラーなどはファンにヒアリングすることもあります。新作は毎月5アイテムのペースで制作していますが、趣味みたいな感覚ですね。
WWD:今後の目標は?
佐藤:人の生活に潜り込みたい。移動中の音楽も、アクセサリーも、布団もバスタオルも私が作ったものになっていたら面白い。佐藤ノアを知らない人の生活にまで、いつの間にか入り込んでいるのが理想です。
■「メルシーナ」ポップアップ
日程:7月21〜27日
場所:伊勢丹新宿本店本館2階EAST-Park
住所:東京都新宿区新宿3-14-1