登山用ギアなどを軸にするアウトドアブランド「アークテリクス(ARC’TERYX)」のトップファッションライン「ヴェイランス(VEILANCE)」は、2021-22年秋冬にウィメンズを立ち上げる。グースダウンのロングコート(18万7000円)やジャケット(17万6000円)、防水透湿素材「ゴアテックス」を使ったダブルブレステッドコート(14万3000円)、防水通気素材「ポーラテック」に撥水加工を施したシャツジャケット(6万500円)やトラウザー(4万9500円)などを用意する。ビームスの六本木店、原宿店で卸販売するほか、神戸の「アークテリクス」直営店でも販売する。
2009年にメンズを始動させた「ヴェイランス」のコンセプトは“究極のアーバンウエア”。ロゴや装飾を削ぎ落としたミニマルなデザインと、防風性と着心地を高めるシームテープや可動性を高める袖下のガゼット、ダウン以外は自宅で洗えるイージーケアなど、快適な都市生活のための機能性が特徴だ。ウィメンズでは、「ゴアテックス」に比べて伸縮性が高く柔らかさも備える機能素材「ポーラテック」を新たに採用。女性客が求めるドレープと軽やかさを盛り込む。
「ファッションと(アウトドア向け)機能服の中間というマーケットは今、追い風が吹いている」と語るのは、「アークテリクス」「ヴェイランス」を国内で展開するアメアスポーツジャパンの高木賢アークテリクスブランドヘッド。「アウトドアの中でもキャンプ関連のブランドや商品は今非常に好調だが、(「アークテリクス」が得意とする)登山関連もコロナ禍の中でそれほど売り上げを落としてはいない」という。コロナ前から注目されるマーケットで競合も多いが、「ファッションブランドが作る機能服は、われわれからすると圧倒的に違うもの」とプロダクト力の高さに自信を見せる。今は「ユニクロ(UNIQLO)」や「ワークマン(WORKMAN)」など低価格な機能服も話題になっている。「価格の違いは素材の違いに直結するし、(低価格機能服は)モノの作りや仕様が甘いと感じる部分は多い」と語る。
「ヴェイランス」のメンズは現在、インターナショナルギャラリービームスやエディション、エストネーション、エリミネーターなど約40のセレクトショップで卸販売しているほか、伊勢丹新宿本店メンズ館や原宿、神戸、名古屋の「アークテリクス」直営店でも販売している。ウィメンズ市場を開拓し、さらなる存在感アップを目指す。