シャネル(CHANEL)の2020年12月通期の売上高は、前期比17.6%減の101億800万ドル(約1兆1118億円)、営業利益は同41.3%減の20億4900万ドル(約2253億円)、純利益は同42.4%減の13億8800万ドル(約1526億円)だった。
地域別では、ヨーロッパが同36.3%減の28億8500万ドル(約3173億円)、南北アメリカは同15.0%減の19億6600万ドル(約2162億円)、アジア太平洋地域は同3.1%減の52億5700万ドル(約5782億円)だった。
大幅な減収減益は主にコロナ禍の影響によるもの。20年6月8日の時点で、ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=シャネル ファッション部門プレジデントは「20年度の売上高は2ケタ減となることが予想される」と発言しており、予想通りの着地となった。
シャネルは生産部門なども含めて仏国内におよそ8500人の従業員を抱えており、休業期間中もその全員に約8週間分(20年3月16日~5月8日)の給与を支払っている。仏政府が打ち出した緊急経済支援策には、休業期間中に従業員に支払う賃金を国が補填する制度が盛り込まれているが、同社はこれを利用しなかった。同社は当時、「公共財政に負担をかけないようにするためだ。その分をより困っている企業や、医療制度および医療従事者へのサポートに回してほしい」とコメントしているが、こうしたことも利益縮小の一因となったようだ。
フィリップ・ブロンディオ(Philippe Blondiaux)最高財務責任者(CFO)は、「利益率やキャッシュフローが一時的に悪化することは承知の上で、これらのことを実施した。他社とは異なるアプローチかもしれないが、その後急激に業績が回復していることを踏まえると正しい判断だったと思う。危機的な状況の中、当社がどのような対応を取ったのかについて、従業員や顧客、取引先は長らく記憶してくれるだろうし、(費用対効果は)十分にある」と語った。
欧州では20年秋以降、新型コロナウイルスの感染再拡大を受けて再びロックダウンに踏み切った国もあり、経済活動が抑制されていたことから、多くの企業や小売店が苦境に立たされた。ラグジュアリーブランドも例外ではないが、シャネルはその中でも厳しい。例えば、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「ディオール(DIOR)」「フェンディ(FENDI)」などを擁するLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)の20年12月期における営業利益は前期比29.2%減となっており、シャネルの同41.3%減ほどの大きな落ち込みは見せていない。ほかにも、「グッチ(GUCCI)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」を擁するケリング(KERING)は同28.4%減、エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL)は同11.3%減だった。
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