「WWDJAPAN」は、「WWDJAPAN」の6月28日号と「WWDJAPAN.com」で「2021年上半期ベストコスメ」の全21部門の結果を発表した。全国の百貨店とセミセルフショップ、バラエティーストア、ドラッグストアのバイヤーに21年1〜4月に“売れた”アイテムをヒアリングし、この間発売された新製品の各部門ベスト3と、新製品と既存品を合わせた全製品(総合)の各部門ベスト3が出そろった。
安心感のある定番商品や、人気ブランドの新製品が上位にランクインし、昨年からのコロナ禍による影響がランキングにも見てとれた。その中で百貨店・セミセルフショップのランキングには変化の兆しが。以前はより堅実なブランド、アイテムへの人気が集中していたが、ここへきて華やかなブランドへの支持も高まっており、“楽しみたい”という消費者のニーズが現れたランキングだった。バラエティー・ドラッグストアのランキングでは韓国ブランドなどが前回(「WWDビューティ」2020年ベストコスメ)に引き続きランクインしたが、今回は国産ブランドへのニーズも高まっている印象だ。
百貨店・セミセルフショップ:
アイメイクやリップは“華やか”ブランド+堅実なアイテム
消費者の“楽しみたい”という思いは、カラーアイテムで顕著だ。特に人気のブランドの新カラーは注目度が高く、アイシャドウ新製品1、2位の「スック(SUQQU)」と「シャネル(CHANEL)」は総合でも1、2位を獲得。バイヤーコメントでも「リニューアル前から人気のアイシャドウで、SNSでの色比較など話題性が高かった」という声が上がった。3位には「ディオール(DIOR)」や「ルナソル(LUNASOL)」が入り、カラーで定評のあるブランドが上位を占めた。“華やか”なブランドを選ぶ一方で、実際のカラー選びは“堅実”だ。ブラウンやテラコッタのような落ち着いたカラー展開で、グラデーションが作れるアイテムが人気に。持っていて気分が上がるブランドでも、使いやすさは必須のようだ。
日常化したマスク着用で低迷していたリップは、唇の荒れに着目したケア製品の発売が相次ぎ、人気が集中した。新製品で1位、総合で2位の「ディオール」“ルージュ ディオール バーム”は、バイヤーから「マスク着用により『透明のバームがデパコスで欲しい』とのニーズが拡大」との評価。新製品2位の「クラランス」、3位の「ジルスチュアート」、総合1位の「ディオール」、総合3位の「シャネル」もリップケアアイテムだ。
百貨店・セミセルフショップ:
ブランドでは「シャネル」「ディオール」が圧倒的な強さ
今回のベストコスメの大きな特徴は、「シャネル」と「ディオール」が百貨店・セミセルフショップランキングで圧倒的な強さを見せたことだ。今回は、最低でもどちらかのブランドが全カテゴリーでランクイン。「シャネル」は化粧水、ボディーケアの1位を含め9部門で3位以内に入った。「ディオール」は、リップや乳液・クレンジングの1位をはじめ、8部門でランクインした。華やかさや憧れを抱くブランドを選択。気分やモチベーションを上げるアイテムとして選ばれているようだ。
バラエティー・ドラッグストア:
昨年のベスコスでランクイン商品の人気が継続
バラエティー・ドラッグストアのランキングでは、昨年のベストコスメのランクインアイテムが継続して人気で、不動の地位を築いている。「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」は、昨年発売した新アイテム“UVイデア XLプロテクショントーンアップ ローズ”が、今回の総合1位に。右肩上がりで売り上げが伸びている。リップでは「リカフロッシュ(RICAFROSH)」“ジューシーリブティント”が、前回のポイントメイク3位から、今回1位になった。フレグランスの総合では前回1位の「フィアンセ(FIANCEE)」“ボディミスト ピュアシャンプーの香り”が、今回も総合で1位を獲得しており不動の人気だ。
バラエティー・ドラッグストア:
強まる国産ブランド人気
店頭では韓国や中国ブランドのスペースが増えているバラエティー・ドラッグストアだが、ランキングでは国産ブランドへのニーズも拡大している。アイメイク部門では、新製品・総合ともに「エクセル(EXCEL)」が1位を獲得。ベースメイクでは「マキアージュ(MAQUILLAGE)」や「エテュセ(ETTUSAIS)」「エトヴォス(ETVOS)」「アンドビー(&BE)」が上がり、総合1位の「ラ ロッシュ ポゼ」以外は日本ブランドが占めた。リップでも「リカフロッシュ」のほか、「セザンヌ(CEZANNE)」や「フジコ(FUJIKO)」「オペラ(OPERA)」など国産勢が上位となった。