「無印良品」を運営する良品計画の2020年9月〜21年5月期連結業績は、売上高に相当する営業収益が前年同期比14.6%増(決算期変更のため参考値。以下同様)の3450億円、営業利益が同173.2%増の351億円だった。第3四半期までの実績として、営業収益、営業利益ともに過去最高となった。
コロナ禍が後押しする形で、同社の強みである“身の回り品”消費が国内を中心に好調で全体をけん引した。20年10月に衣料品の主力72品を値下げし、それ以降も生活雑貨、日用品などで値下げを実施。その分期間限定の値引きプロモーションを抑制したことが利益面に大きく貢献した。「16年以降、定期的に価格改定を進めてきた成果が出た。世の中の消費の傾向が“身の回り品”中心になっている。6月は前年のリベンジ消費の反動で国内売り上げもやや苦戦傾向にあるが、こうした流れは長くは続かないだろう」と、松崎暁社長。
好調だった国内事業の営業収益は同20.7%増の2266億円、営業利益は同268.2%増の237億円。9カ月間の国内既存店売上高は同10.0%増で、中でも強化している食品カテゴリーは同49.7%増と引き続き大きな伸び。食品が呼び水となって、客数も同18.3%増だった。
欧米は引き続きコロナ禍で苦戦したものの、中国を中心とした東アジア事業は営業収益が同17.2%増の955億円、営業利益が同41.7%増の178億円だった。
食品が増収増益のキーワードとなる中で、5月には横浜に関東初のスーパーマーケット併設型店舗をオープン。地方では、長野や栃木などで地元スーパーマーケットの隣接地への出店を進めている。毎日のように買い物に訪れるスーパーマーケットと組むことで、より消費者の日常に入り込む。5月末時点の店舗数は国内453、海外541の計994。7月中に1000店を突破予定という。