7月5日に開催された「ディオール(DIOR)」2022年春夏メンズ・コレクションの展示会へ行ってきました。アクセサリーやディテールには、今季コラボレーションしたトラヴィス・スコット(Travis Scott)の出身地テキサスを連想させるカウボーイ風のボタンやフリンジ、インディアンジュエリーのような彫刻が施されたシルバージュエリーが付きます。ダブル仕様のサドルバッグには重厚なシルバーを使用しているため、なかなかの重さ。さらに重厚感があったのは、ヒマラヤクロコダイルのミニトランク。バッグには定番のロゴに加え、1960年代のダイヤモンドモノグラムを復刻してたくさん配していました。ショーでまばゆい輝きを放っていたカクタス(サボテン)ネックレスやブローチは、キム・ジョーンズ(Kim Jones)が「ディオール」ファインジュエリーのアーティスティック・ディレクターと共に初めて制作したジュエリーです。足元はスニーカーやモンクストラップのサンダル、ヘッドにはボブハットとビーニー、ボブハットとキャップを融合させた2種類のハットがありました。
ウエアで目を引いたのは、キムが現職に就いたファーストシーズンより発表しているジャケット“テイラー オブリーク”の美しさ。ウィメンズスーツのシルエットがアイデアソースとあって、体に沿ってゆるやかに描くラインが特徴です。襟とラペルの曲線や、袖口に向かって広がるスリーブのラインも、着用するとなお一層美しくて心を奪われました。ラペルの裏には、トラヴィスによる手描きのロゴの刺しゅうが、スーツの袖にはクチュール技術を受け継ぐソウタシエ刺しゅうが施されていました。ショーで存在感を放っていたフレアパンツは、横からから見るとたっぷり生地を使っているのがよく分かります。またコンテンポラリーアーティストのジョージ・コンド(George Condo)がハンドペイントしたシャツは商品化されず、間もなくオークションにかけられて、その収益は次世代のクリエイティブな才能をサポートするための奨学金に充てられるそうです。