ビューティ
連載 ファッション業界人も知るべき今週のビューティ展望 第32回

グローバルに流通する「日本らしさ」のヒント

有料会員限定記事

 ビューティ・インサイトは、「WWDJAPAN」のニュースを起点に識者が業界の展望を語る。今週は、ビューティメディアの編集長が「日本らしさ」を考える。

【賢者が選んだ注目ニュース】
一度聞いたら忘れられない 日本未上陸の「アクセルアリガト」
「ダムダム」が日本のクリーンビューティブランドとして初めて米セフォラに出店

 ビューティやファッションにおいて、グローバルから見た日本ブランドの価値は相対的に高い。しかし、まだまだ日本市場だけに向き合っているブランドが多いのも確かだ。予想される日本の人口減と年齢分布を考えたとき、これからはグローバル市場の開拓も視野に入れるべきなのは明らかだが、ストーリーや哲学を強く打ち出す新興ブランドが世界で台頭している中、日本ブランドは長所や「らしさ」をどう打ち出していくべきなのだろう?

 大きなヒントとなる記事を6月、「WWDJAPAN.com」の記事で見つけた。まずは、「一度聞いたら忘れられない『アクセルアリガト』 日本未上陸の北欧発シューズが絶好調」(6/15)だ。 

 ブランド名の「アリガト」は日本語の「ありがとう」が由来だが、スウェーデン発の「アクセルアリガトAXEL ARIGATO)」は日本で製造もしていなければ創業者に日本人がいるわけでもない。ついでにいえば記事タイトルにもある通り、日本未上陸だ。ただ、このブランドは創業者らが愛するミニマリズムを体現しており、そのインスピレーションを日本の文化や建築、デザインに宿るミニマルな美学から受けているという。そして「ありがたし」の意味を深く理解し、彼らのブランド名にその音を採用し、韻を踏み海外では少し奇妙に聞こえるかもしれない「アクセルアリガト」というブランド名にした。実際、ブランド名の由来について会話がはずむこともあるそうだ。

 ここから学べるのは、これからは「日本製」「日本ブランド」という、これまで積み上げてきた質のよさ、モノづくりへの自信といったレガシーだけに頼るのではなく、「日本らしさ」を因数分解し、どう解釈し、ブランドの背景やストーリーにどう息づかせるかを明確にしていくことではないだろうか。

 また「『ダムダム(DAMDAM)』が日本のクリーンビューティブランドとして初めて米セフォラに出店」(6/25)の記事で興味深いのは、このブランドがシンガポール版「ハーパース バザー」のジゼル・ゴー(Giselle Go)元編集長とパートナーのフィリップ・テリアン(Philippe Terrien)氏という、ともにグローバルな視点でファッション業界に関わってきた2人の目線で立ち上げられている点だ。

この続きを読むには…
残り929⽂字, 画像1枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

疾走するアシックス 5年間で売上高1.8倍の理由

「WWDJAPAN」11月4日号は、アシックスを特集します。2024年度の売上高はコロナ前の19年度と比べて約1.8倍の見通し。時価総額も2兆円を突破して、まさに疾走という言葉がぴったりの好業績です。売上高の8割以上を海外で稼ぐグローバル企業の同社は、主力であるランニングシューズに加えて、近年はファッションスニーカーの「オニツカタイガー」、“ゲルカヤノ14”が爆発的ヒットを記録したスポーツスタイル…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。