毎週発行している「WWDJAPAN」は、ファッション&ビューティの潮流やムーブメントの分析、ニュースの深堀りなどを通じて、業界の面白さ・奥深さを提供しています。巻頭特集では特に注目のキーワードやカテゴリー、市場をテーマに、業界活性化を図るべく熱いメッセージを発信。ここでは、そんな特集を担当記者がざっくばらんに振り返ります。(この記事は「WWDJAPAN」2021年7月5日号からの抜粋です)
横山:繊維商社ってブランドから商品生産を受託する、業界のハブ的な存在です。つまり、そこを知れば、アパレルビジネスの今が分かるんですよ!年商1000億円規模の大企業が多くて、影響力も大です。僕は、アパレルビジネスをやりたい若い人にとって経験と知識を一番いろいろ学べて、将来につながるのが繊維商社だと思っています。
小田島:アツいね〜。でも、消費者からは見えづらい存在でもあるよね。
横山:業界に入って生産に関わると必ず接点ができるんですけどね。以前はどこも事業内容が似ていたのですが、この2、3年で今までと違う事業を始めたり、ビジネスモデルの転換を図ったり、各社の個性が際立つようになってきました。1990年代以降、日本のアパレルは海外に生産拠点を移し、アウトソーシングも進んだ。なので商社のOEM事業は基本ずっと右肩上がりだったそうなんですよ。それが、15〜16年くらいから潮目が変わった。競合同士が合併するなど、動きが活発になっている状況です。
横山:河合さんは繊維商社出身で、外資系の戦略コンサルティング会社を渡り歩いてきた凄腕の再生請負人です。以前から生産管理のプラットフォームをデジタル化する「デジタルSPA」という構想を掲げていて、そのリード役として繊維商社に期待していたのですが、いよいよそういう時代が到来したという感じですね。もの作りのプロから、これからはブランドや事業そのものをプロデュースする時代です。
小田島:ますます面白くなりそうね。
横山:江戸時代に創業したオーナー企業が多いのですが、企業の寿命が30年といわれている中で、創業家のオーナーが陣頭指揮を執って革新する姿はとても興味深いです。今後もっと面白くなるはずだし、そうならないところは生き残っていけないだろうなと思います。学生や若い人がそういった部分に魅力を感じるかどうかというのが、繊維商社の今後を占う上で意外に大事なポイントになるかもしれません。