渡辺淳弥が手掛ける「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン(COMME DES GARCONS JUNYA WATANABE MAN)」は2022年春夏コレクションのファッションショーを7月8日に行った。会場の東京・南青山の本社の一室には、イギリス人写真家のジェイミー・ホークスワース(Jamie Hawkesworth)によるブータンで撮影した写真がウッドの壁一面に飾られていた。
田名網敬一のアートワークや
「ベルベルジン」の古着から柄を転写
ファーストルックから10ルックまでは、グラフィックTシャツにサルエルのパンツの軽快なスタイル。頭はストローハット、足元はグルカサンダル、テキスタイルのショルダーバッグを合わせて、夏の旅を連想させるカジュアルな装いだ。今季は若き写真家のジェイミーがブータンを旅する姿をイメージ。「ジェイミーから送られてきたブータン、カザフスタン、インドで撮影した写真の中で、ブータンが心に刺さった」と渡辺のプレスノートには記されていた。
色鮮やかなグラフィックは、グローバルで活躍するアーティストの作品を採用。日本の現代美術家の田名網敬一をはじめ、タイ人イラストレーターのファナパスト・タイチャメールコール(Phannapast Taychamaythakool)、ロンドン在住の中国人アーティストのジャッキー・ツァイ(Jacky Tsai)、中国・深センのルロン・ワン(Rlon Wang)、ネパールのアン・ツエリン・シェルパ(Ang Tsherin Sherpa)、カリフォルニアを拠点にする中国人写真家のシュエビン・ドゥ(Xuebing Du)、ベトナムの絵本作家デュオのクアン&リアン(Quang & Lien)、ポーランドのマルタ・オルガ・クララ(Marta Olga Klara)らのアートワークで、異国情緒な雰囲気を漂わせる。また東京・原宿のビンテージショップ「ベルベルジン(BerBerJin)」のビンテージウエアから転写した柄も使用。袖、背面などにコラージュしたペイズリーやマドラスチェック、民族柄も際立っていた。
「ザ・ノース・フェイス」や「ブルックス ブラザーズ」
「イルビゾンテ」などの老舗ブランドとタッグ
他にもコラボレーションは豊作。ショー中盤に登場したアウターは「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」やイギリス発のアウトドアブランド「カリマー(KARRIMOR)」と、ミリタリージャケットは「アークエアー(ARK AIR)」、ブレザーは「ブルックス ブラザーズ(BROOKS BROTHERS)」との協業によるもの。サルエルデニムは「リーバイス(LEVI’S)」、ワークパンツは「ディッキーズ(DICKIES)」とのダブルネーム。スニーカーは「ニューバランス(NEW BALANCE)」のアイコニックモデル“574”をベースにした新作コラボ、バッグはイタリア・フィレンツェ発の「イルビゾンテ(IL BISONTE)」と、アイウエアはアメリカの「ランドルフ(RANDOLPH)」とそれぞれのカテゴリーで老舗ブランドとタッグを組んだ。
軽やかに国やカルチャー、テイストを超越した今季のウエアからは、再び自由に旅を楽しむ希望が感じられた。先の読めない事態は続いているが、この商品が店頭に並ぶ頃には、回復した新しい未来を期待したい。